百三十九 ページ39
一瞬疑った。
他の妖怪とは違う立派な服と気配はきっとこの男の子がそうである証拠だろう。
であればこんな立派な建物に平気で出入りするのも納得出来る気がする。
「あの……舌は抜かないでね……」
「言ってる意味は分からねぇけどそんなことはしないぞ。……さて、問題のオロチってやつだが」
男の子……いや、もうそんな呼び方は相応しくない。
エンマ大王は真剣な表情をして語り始める。
「妖怪も人間と同様、病におかされる。人間は病を患えば治療薬が必要だ。それは妖怪も同じ。ただ妖怪に存在する病は人間の治療薬では効果がないんだ」
エンマ大王はどこからか本を取り出すと、とあるページを広げて私に見せた。
「これがあればオロチって奴も直ぐに良くなるだろう」
エンマ大王は右ページを指差した。
そこには青色の液体のようなものが入ったイラストが描かれていた。
「これ飲み薬？どこに行けばあるの？」
「飲み薬だ。今から調達しに行ってもらうからそれまで待っていろよな」
エンマ大王はその部屋から出ていき、一人寂しく待っていると扉が開く音が聞こえた。
エンマ大王かと振り返るとそこにはぬらりひょんが居た。
ぬらりひょんは何食わぬ顔で私の正面へ座った。
「ぁ……ごめんなさい……」
「そんなことはどうでもいい。聞きたいことがあるのだが」
どうやら私を脅かそうとしている訳ではなさそうだ。
「お前は"妖器"を知っているか」
「よう、き……？それって妖怪の気配ってこと？」
するとぬらりひょんは紙を取り出し、そこへ文字を書き入れた。
「妖かしに器。妖怪の力を溜めた器のことだ。……理解できるか」
「……うん」
ぬらりひょんはその隣に絵を書き込んだ。
「このような文様が施された30センチ程のなのだが」
「……分からない」
ぬらりひょんはため息をつくとすっと立ち上がった。
「何してんだ？」
いつ戻ってきたのか、エンマ大王は私の後ろから覗き込んだ。
「ああ、何年も前に倉庫から盗まれた器か。それで、なにか手がかりはあったのか？」
ぬらりひょんは首を横に振った。
「小娘に聞いたのが間違いでした。こんなの宛になりません」
「ぬらり。盗まれたのは……」
エンマ大王が私を見て言葉に詰まる。
「A……」
そういえば私はまだ名乗っていなかった。
「盗まれたのはAが産まれるよりもずっと昔のことだったはずだ。知らないのも無理もないだろう？」
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
