百三十八 ページ38
褐色の肌に金髪。
つり上がった目。
赤い立派な服。
「あっ、この間の……」
姿は違った。
だけど気配までは誤魔化せまい。
間違いなかった。
「ほら、立てるか？」
男の子は肩を貸して私を立ち上がらせた。
「……お前、他とは違うな」
男の子は私にそう言った。
「怪我はしてないみたいだが"急がば回れ"だ。少し休んでいくといい」
私はそれを聞いて男の子の肩を押した。
「そんな暇ないの……早くしなきゃオロチ死んじゃう……っっ」
「俺ならお前の望む答えを出すことができる」
男の子はそう言って強引に私をおんぶして、近くの大きな建物に入った。
その建物はとても見覚えがあった。
感じ取れば妖怪の気配がいくつか感じ取れる。
「……ねぇ。もしかしてハロウィンの時会ったオだよね？」
「もしかしなくても、だな。姿が違うのによく分かったな」
歩いていると広間へと出た。
「エンマ大王‼仕事の方を片付けて貰わなければならないというのにどこをほっつき歩いて……」
「あぁ、ぬらりか」
男の子がくるりと振り返る。
そこには白い長髪の怖そうな妖怪がいた。
「何故人間がここに……‼」
その怖い妖怪は恐ろしい形相で私に持っていた杖を私に向けた。
「おい、ぬらりひょん‼客人に失礼だぞ‼」
ぬらりひょんという妖怪は男の子と私の顔を見比べ渋々と杖をおろした。
「悪いな。ちょっと警戒しているだけで悪いやつじゃないから安心しろ」
「……うん」
奥の部屋へと進みだすが、背後から感じる視線で私は冷や汗をかいた。
客間のような部屋へ通された。
ソファにおろしてもらって一息つくものの外れぬ視線に殺されそうだった。
出されたお茶を震わしながら口へ運ぶ。
そんな姿を見かねてか、男の子はぬらりひょんに部屋から出るように命じた。
「これで少しはゆっくりできるな」
男の子は向かいに座り、私は小さく頷いた。
「さて、まずはここへ来た目的を話してくれ」
私はぽつりぽつりと話す。
「私の部屋にね、今妖怪が住んでるの。オロチがね、凄い熱出しちゃって……どうにもならなくって……。妖怪に聞こうと思って、でも今日人間界には妖怪はほとんど居なかったから……それで来たの。エンマ大王って妖怪ならなんとかなるかもって聞いて私、今探してるの。……知らない？」
「もう目の前にいるのに何故そこは気づかないんだろうな」
男の子は面白そうに笑った。
「えっ、あなたがエンマ大王……？」
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
