百三十六 ページ36
「妖怪が風邪引くなんてそんなこと……」
天野君から事情を聞いたウィスパーがそう言った。
「だって熱があるって……」
「うーん、妖怪たちに聞いてみればいいかも」
「でも今日近くに妖怪居ないみたい」
気配を感じ取っても妖怪の気配は全くしない。
「そりゃ今日は年に一度の妖怪ミサですからねぇ。強制参加ではないものの自主的に参加する妖怪がほとんどですよ」
「あ、そういえば今朝から妖魔界行くってジバニャンも出かけてたっけ」
私はそんなこと知らない。
でもだとすればもうなにもできない……。
「……妖魔界行く」
決まればそれだけのこと。
目的があれば走り出す。
走り続けて肝心なことを思い出した。
「妖魔界……どうやっていくかわかんない…」
今まで２回も行った訳だけど、妖怪に連れてかれて落っこちて妖魔界に居た訳だから行く方法の参考になんてならない。
ふと私がオロチと出会ったときのことを思い出した。
「確か……こっちに戻るときおおもり山に居た……」
あの時妖怪エレベーターというのを使ってこっちに戻ってきた。
雲みたいにふわふわした記憶だけどきっとそうだ。
私は急いでおおもり山へと急いだ。
おおもり山の御神木まで辿り着き、私は御神木に触れた。
「開かない……」
ただの御神木だ。
どうしようかと辺りを散策していると突然しとしとと小雨が降り出した。
だけどそんなの気にはしていられない。
すると首筋にじめりとしたものが触れた。
ふにゃりと力が抜けて私はその場にしゃがみこんだ。
「ぁ、その、ごめんなさい……」
雨の音に負けそうな声がした。
顔をあげるとそこには雨女が居た。
「驚かすつもりはなかったのだけれど……さっきから全く気づいてくれないから……」
「ぁ……ごめんなさい……ちょっと探し物してて……」
私は妖怪エレベーターについて雨女に問う。
「私、今から妖魔界行くから……一緒に来る？」
「……いいの？」
雨女は小さく頷いた。
どう言う理屈なのかはわからないけど文字が浮かぶと御神木が縦に割れた。
「どうぞ……」
中に入るとそれはあの時と同じ。
ここから妖魔界へ……。
「……そういえばあなた私が見えるの」
「ぁ……うん……」
それ以上雨女はなにも聞いてこなかった。
こんな密室に二人で居るなんて前だったら……なんて考えているとエレベーターが止まった。
エレベーターが開くとそこはもう妖魔界だった。
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
