百二十三 ページ23
疫病神、化け物、呪い。
その３つの言葉は私を殺させた。
一時は効果を無くしたもののそれらは簡単にまた、私を殺す。
怖い怖い怖い。
過去がまた巡り巡り私を混乱させる。
「この疫病神‼」
取れかけた棘がまた突き刺さる。
私は一体どうしたらいいの。
「……」
目を覚ますと私はベッドの上にいた。
日曜午前6時。
いつもは静かなのに１階からテレビの音が聞こえる。
隣で寝ているオロチを起こさないようにベッドから降りて１階へ降りた。
「おじさん……？」
リビングを覗き込むとソファにお婆ちゃんが居た。
ぼんやりした目がこちらに向けられた瞬間その目は恨みの目に変わる。
そしてつかつかと杖をついてこちらへ接近してくる。
「早く出て行きなさい。じゃないと今度は私があんたを殺すわ……‼」
お婆ちゃんは耳元でそう言った。
私はよろよろと後退する。
背中に壁の冷たさが伝わった。
お婆ちゃんは杖の先を私の顔の横の壁へ強く突く。
「せっかく私があんなにもいい子に優秀に育てたのにあんたのせいで台無しよ……っっ‼もう私には後先がないの‼私の介護は一体誰がしてくれるって言うの⁉もう公彦しか居ないのよ‼それさえ奪うって言うの⁉どれだけわがままなのよ‼返しなさいよ‼」
お婆ちゃんの手のひらが目の前に見える。
その瞬間、おじさんの寝室の扉が開いた。
「……なにしてるの？」
「な、なにもよ。それにしても今日は日曜日だっていうのに随分早いのね。もう少し寝ていたら？」
寝ぼけ眼だったおじさんが眉をひそめる。
「……Aちゃん？」
名前を呼ばれ肩をビクつかせ、私は首を激しく横に振った。
「母さん。昨日Aちゃんに近づかないでって言ったよね」
「ご、誤解よ。か、髪にごみが付いてたのよ。それを取ってあげようとしたら凄く怯えちゃって……そうよね」
私は首を縦か横に振ることさえ出来なかった。
「朝ごはん食べたら駅まで送るから。Aちゃん、顔洗っておいで。ご飯できたら呼んであげるから部屋で待っててね」
おじさんは変わらぬ笑顔で私を洗面所へ向かわせた。
扉を閉めて私はへたり込む。
がくがくと足が震えた。
お婆ちゃんが私に害を与えるということは既に分かっていた。
かつて私を襲った妖怪と同じ恐怖。
もしかするとそれよりももっと感じているのかもしれない。
別の種ではなく人間という同じ種という事実が妖怪以上の恐怖を感じさせているのかもしれない。
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
