百二十二 ページ22
少ししてオロチが帰ってきた。
「そんなとこに座り込んでどうした」
「な、なんでもない……」
ようやくふらつきながら立ち上がって部屋に入った。
「A。１階に見知ら老婆がいたがあれは誰だ？何処かで見たような顔だったが……」
「……お婆ちゃん」
ぽつりと呟くとオロチは体をぴくりと反応させた。
「なにかされたのか」
オロチは私の腕を引っ張った。
私は首を横に振った。
「今晩泊まるんだって……」
すると部屋の扉を叩く音が聞こえた。
「Aちゃん、ちょっといいかな」
私は部屋の扉を少しだけ開けて、おじさんの顔を見上げた。
「嫌なこと思い出させちゃってごめんね。朝になったら帰らせるから。今晩だけ我慢してね。何かあったらすぐに言うんだよ」
おじさんは私の頭をぽんぽんと撫でてにっこり笑うと１階にいってしまった。
扉を閉めると私はベッドに座り込んだ。
「あのね、お婆ちゃんこの家のこと知らなかったの。でもなんでか分かんないけど見つけられたみたい……」
街頭の下でなにを言われたかなんて言いたくない。
言えない。
言えるわけない。
言ってしまえばもっと現実味を帯びてしまう。
現実になってしまいそうで怖かった。
「今晩だけだよ。おじさんもいるし、きっと大丈夫……」
私はそう答えを出した。
私はもう違う。
化け物なんかじゃない。
誰も殺す力なんてない。
普通の人間なの。
だからもう責められる理由なんてないの……。
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
