百十一 ページ11
周りを見れば皆一人一人にプレゼントが届いたらしい。
皆喜んでいた。
多分それは欲しかったもの。
私、本当は鏡が欲しかったのかなぁ。
疑問が残る中、ふとオロチが空を見上げているのに気づいた。
「ねぇ、オロチ……。オロチはなに貰ったの？」
声をかけてもオロチはこちらに気づかない。
「ねぇねぇ……」
肩を揺らすとオロチはようやくこちらに気づいてくれた。
「……どうした」
「どうした……ってオロチはなに貰ったのって聞いたの」
でもオロチは両手になにも持っていないようだった。
「サンタさんは私たちのこと見てくれてるのかな……」
「……サンタは違うだろう。今まで今日のように人間界と妖魔界が交わることがないから人間へのプレゼントなど用意していなかったのだろう」
オロチはそんなことを言った。
「でも妖魔界では恒例なんだよね？なのにオロチにはないんだ」
「……目に見えないだけかもしれないな」
目に見えないもの……。
私は目に見えないものを思い浮かべてみた。
「……幸せ、とか？オロチ今幸せ？」
私はオロチの顔を覗き込んだ。
「……さあな。幸せなんて感じようと思って感じるものではないだろう」
オロチは私の頭をくしゃくしゃに撫でると手の甲で頬で撫でた。
「私多分今幸せって感じかもしれない……。幸せってはっきり分かんないけどなんとなくこんな感じかなって……、こうだといいなって……。小さかったから仕方ないけど私がしたことは罪なことだから……でも今日でね、やらないといけないこと思い出したの。パパとママに会わなくちゃ。この前は勇気がなくて行けなかったけど……ちゃんとね、謝りたいの。だから今度連れてって欲しい……」
オロチは一瞬眉をひそめると手を離した。
「……いいだろう。それはそうとこれはどうした」
オロチは私の足に視線をうつした。
「……ちょっと転んで擦りむいちゃった。でもちゃんと消毒して貰ったから大丈夫」
私はぱっと視線をそらした。
「そうか」
自分の考え過ぎだった。
逆に怪しまれたかなと思ったけどオロチは気づいてないようだった。
ほっと胸を撫で下ろした。
でもなんで秘密なのだろう。
少し考えてみたがすぐにやめた。
「……もうすぐ終わるな」
音楽が徐々に消え始める。
空が渦巻く。
今度はばらばらにならないように、私たち４人は手を取り合った。
「……さよなら」
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
