百一 ページ1
少しして男の子が両手に桶と箱を持ってやって来た。
「足出しな」
私は大人しく片足を差し出した。
男の子は私の足に触れると、濡れたタオルで傷口を拭いた。
「えーと、確かこれを使うんだっけな」
不安にさせるようなことを言って男の子は箱の中を漁る。
消毒液をガーゼに染み込ませ、傷口に塗る。
「ひ……っ」
急に塗るものだからびっくりした。
「あ、塗るぜ」
「もう塗ってるってば……っ」
男の子は笑いながら傷口に塗りつけた。
「こんなもんだな」
最後にばんそうこうを貼られた。
「ところでこれからどこに行くつもりなんだ？」
「……分かんない」
男の子は出したものを片すと部屋の窓を開けた。
何やら騒がしい。
「始まったみたいだな」
「始まったって、何が……？」
私は手招きする男の子の隣へ立った。
なにもみえないけど、少し遠くから声と音楽が聞こえる。
「今日はハロウィンだからな。パレードが始まったようだ」
「……え？どうして？みんなこの状況が変だって思わないの？」
私は男の子の方を見た。
違和感を感じる。
「今日は妖怪も人も見ただけじゃ分からないしな。判別がつかなくなった今日は２つの世界が混ざり合っているみたいだし、夢とでも思ってるんじゃねぇかな」
男の子は呑気に笑った。
「随分と落ち着いてるようだけど……」
「それはお互い様だけどな。ここには一人で来たのか？」
私は黙って首を横に振った。
「……４人で来た。でもはぐれちゃった……喧嘩しちゃって……大嫌いって言っちゃったの……私が全部悪いのに……」
男の子は落ち着いた様子で、泣きじゃくり始めた私の頭をぽんぽんと撫でた。
「どういう仲なのかは知らねーがこんな日に気を落としてたらつまらないだろ。ま、気楽に楽しもうぜ」
そう言って男の子は私の手を握ると走り出した。
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奈乃 - 面白いですね。 はまります。 (2017年10月21日 21時) (
レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ヒカリさん» ありがとうございます！頑張ります (2017年8月2日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - とっても面白かったです!更新頑張ってください! (2017年7月31日 16時) (レス) id: ec7a8320b4 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - 文連さん» ありがとうございます！！とっても長編になってしまうと思いますが最後まで読んで頂けたら嬉しいです(^^) (2017年6月12日 1時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
文連(プロフ) - 黒髪の子が誰なのか気になりますね。最初から見させていただいています。貴方の書くオロチはいつも可愛くて読んでいて楽しいです (2017年6月11日 17時) (レス) id: c16134aa36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年6月11日 15時
