夜桜77 ページ27
白と黒のボーダーの上に立ち、白い息を吐く。
前にここでオロチは引かれそうになった私を助けてくれた。
それだけだけじゃない。
いっつもいっつもオロチは私を助けてくれた。
だから、今も私が危なくなれば助けてくれる?
タイヤのスリップ音が響く。
ふと目を瞑った瞬間、体が宙に浮く。
はっと目を開けると近くの屋根の上に雑に降ろされた。
顔をあげるとそこにはオロチが居た。
「ぁ、オロチ。やっと見つけた……」
オロチは黙ったまま不信な目で私を見下ろしていた。
だけどそんなことは今はどうでも良い。
「ねぇ、なんで勝手に居なくなっちゃったの……⁉」
オロチはじっと私を見つめ、口を震わせながら小さくため息をついた。
「……何故嘘をついた」
オロチのその言葉に私は息を飲み込んだ。
「私はAが眠っている間にこれを飲ませた」
オロチはそう言って手の中に収まる程の瓶を取り出した。
「簡単に言えばこれは副作用として得た妖怪を見る力をなくす薬だ。それなのにAは今私が見えている。私だけではない、他の妖怪もまだ見えているのだろう。産まれた時からずっと……そうだろう」
そう、簡単に核心を突かれるともう隠す必要は無いのだろう。
「そうだよ」
私はあっさりと認めた。
「私はいい子だったからね、他の子と違うとパパとママは心配しちゃうから。だから見えないふりをしたの。オロチと関わっちゃったのは本当うっかりだったんだけど……。今日見えないふりしたのはそうでもしないと口実が出来なかったから、かな」
オロチに微笑みかけたその瞬間、桜の嵐が吹き荒れた。
嵐がおさまると世界はグレーになる。
いつの間にか私たちはどこかの高いビルの屋上に居た。
ちらちらと桜の花びらがふり、下を見下ろすとあの桜の場所が1面に広がっていた。
異例のことが起ころうとも私は驚くことはなかった。
「私、ずっとずっと悪い子だったんだよね。嘘つきの悪い子。……でも、嘘つきなのはオロチも一緒だよね??」
オロチは返す言葉もなく黙り込んだ。
「それは、私たちとAとでは違うからだ……‼Aは今の両親と人として生きていく方が幸せだからだ……っっ」
オロチははっとして口を手の甲でおさえた。
「……ねぇ、やっぱりおかしいよ。"人"として?それってどういうこと……?そんなのまるで私が人じゃないみたいだよ……⁉」
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奈乃 - ドキドキできて、おもしろいです! (2017年11月18日 16時) (レス) id: e19d1310b2 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - めがみんみんさん» そうでしたか!ありがとうございます!! (2017年11月4日 20時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
めがみんみん - よく見たら歴代オロチシリーズ全部見てました…(ºωº)あなたの温もりは(題名違ったらごめんなさい)とかのもニヒニヒ笑って見てました!今更ですけどほんとに凄いですね!新作絶対見ます! (2017年11月4日 19時) (レス) id: 2c7c481a55 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - めがみんみんさん» ありがとうございます!既に新作出ていますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです(*^^*) (2017年11月3日 23時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
めがみんみん - とても素敵な作品でした。私はとてもオロチが好きなのですが、この小説を寝る前とかに読んでニマニマしながら寝るのが日課となっていました(笑)完結は少し寂しかったですが、新しい作品を期待しています!これからも頑張ってください! (2017年11月3日 23時) (レス) id: 2c7c481a55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年10月9日 0時