七十四 ページ24
「ん、終わった」
机に向かうこと3時間。
夏休みの宿題を全て終えた私は机に突っ伏した。
そしてすぐ体を起こして机の引き出しの中をあさり、丸い缶を取り出した。
人形を片手に針と糸で目を縫い付けた。
「ん……ごめんね」
少し悲しそうな顔をする人形を大事に抱きしめた。
ガチャリと扉の開く音がして、オロチが部屋に入ってきた。
「……勝手に入ってこないでって」
溢れそうになるものを袖でごしごしの拭い取った。
「我慢する必要はないからな。私の前では存分に泣けばいい」
「……何様のつもり?まるで私が泣いてたように言わないでよね」
可愛げもなく私はぷいとそっぽを向いた。
「可愛げないな」
オロチは私の額を指先で小突いた。
「……それ嫌い」
小突いた手を払い除け、私は部屋を出た。
もう夕方なのでご飯を作らないと。
準備をしているとオロチがリビングに入ってきた。
「……じろじろ見ないで」
キッチンカウンターからオロチがこちらをじっと見つめてくるのでひき肉を捻り潰した手を目の前にちらつかせた。
オロチは一瞬嫌な顔をしてそこから離れてくれた。
バンバーグの種を2つ、トレーに並べた。
2つのうち1つを2つに割る。
割った2つを熱したフライパンに置いた。
じゅうじゅうといい音がする。
「……それはそうとそれはいいのか」
オロチが指差す先に視線をうつした。
「ぇ、炊いてないじゃん……」
炊飯器を開けるとなみなみと水が入ったままだった。
21人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時