七十二 ページ22
「人というのはどうしてああいうものを作ることまでして信じたがるのだろうな。ほぼ全てが偽物だ」
「分かんない。……ほぼ？」
"ほぼ"という言葉に引っかかり私は聞き返した。
オロチは視線だけをテレビの方へ移した。
テレビには小学生の男の子の写真に白と赤のモヤが写っているというものだった。
「……これ本物？なの？」
オロチは小さく頷いた。
私は無言でテレビを消した。
「Aは私が妖怪だということを忘れているのか？」
「……怖いからじゃないもん」
オロチが含みのある笑みを浮かべるので私は不貞腐れてそっぽを向いた。
ご飯に手をつけようとしてもオロチからの視線が気になる。
「いいからしばらく出てってば‼」
私はオロチの腕を引っ張って無理やりリビングから追い出した。
なんかもう、色々ぐちゃぐちゃしちゃってよく分からない。
私ちょっと調子乗っちゃってるかも。
大好きだなんて思っちゃったり。
それはちょっと思い違いなのかも。
悶々と考えながら食事を済ませ、二階にあがった。
自分の部屋なのにこそこそと扉を開け、中を伺った。
部屋にはオロチがいた。
カーテンを開けてなにかぶつぶつと呟いている。
「……すまない」
そう言っているような気がした。
するとオロチが突然こちらを振り向いた。
「……あぁ、居たのか」
「……うん。あの、えっと……なに、してたの……？」
オロチは窓を開けた。
「窓を開けようと思っただけだ。それよりここに座れ」
そう言ってオロチはハサミを器用に指先で回した。
「ぁ、私用事思い出した……かな？」
後ずさりして部屋の扉をそっと閉めようとするとオロチが扉を強引に開けた。
「きゅ、急用……だから……」
じりじりと追い詰められる。
「急にと言うのは……ちょっと……もうちょっと、上手く出来るようになったら……じゃ、駄目？」
オロチは肩で息を吐いた。
「そこまで言うなら無理にはしないが見えづらくないのか？それに顔が隠れてしまうと表情が読めん」
「……慣れた。それと表情が読めないのはオロチも片目と口元隠してるじゃん」
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アミュレット - 今日も良かったです！ (2017年5月18日 20時) (
レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね！焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています！ (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城京菜 | 作成日時：2017年5月5日 18時
