六十九 ページ19
できた道へ進む。
異様に長い。
すぐに出口の光は見えた。
出た瞬間、高笑いが鉱山中に響いた。
「あっははは‼よく来たな。まぁ座るが良い」
赤い目は石の玉座に座り、地面を指差した。
「都合の良い哀れな不幸の子よ」
赤い目は頬杖をついてにやにやとこちらを見て笑う。
「今回も楽しませて貰ったぞ。ついに本性を出した。なんて醜いんだ」
「……いい加減にしろ‼今日こそ貴様を殺す‼」
そう言ってオロチは赤い目に飛びかかった。
石の玉座が砕け砂埃が舞う。
「お前たちに我は殺せん」
「……‼」
赤い目が耳元で囁いた。
ぞわりと鳥肌をたて、私はその場から2、3歩後ずさりした。
「Aに近づくな‼」
オロチが物凄い勢いでこちらに飛びかかる。
その瞬間、私の体はひらりと宙に浮いた。
瓦礫の上に着地する。
「さぁ、ここで取引でもするか?」
「……話が違うだろう‼」
一瞬オロチと目が合う。
「自分の嘘に狂った姿を見てこの小娘を欲しいと思った、ただそれだけだ。拳の1つや2つで割り切れることだったか?小娘が犯した罪軽くなるものではない。ならいっそのこともっと重くしてしまえばこの世界は楽しくなる。どうだ、素晴らしいだろう?小娘よ、我と共に来い。さすれば永遠に望む世界を与えてやろう」
赤い目は私に手を差し出した。
私はその手をじっと見つめた。
ピクリと右手が反応した。
「……楽しそう、かもね。割り切れることじゃないのはわかってる、だから新しく始める。もう、必要じゃない」
私は指先を赤い目の手のひらにそっとのせた。
「必要ないのは切り捨てればいい」
「あっはははは‼小娘は私を選んだ‼どんな気持ちだ⁉まず手始めに祓ってやろうか⁉」
赤い目はオロチを挑発した。
「祓うべきものはオロチじゃない。……あなただよ」
私は指先で触れていた手を掴んだ。
「……あなたは必要ない」
「アアアアアッ!!!」
悲痛の叫びとともに、くしゃくしゃに丸めた御札とともに握った手からばらばらに砕けていく。
瓦礫の一部となり、灰となり散った。
「……あなたの存在は鼻から望んでない」
なくなった者に私はそう言い残した。
瓦礫から降りようと足を動かした途端、瓦礫が崩れ私は背中から滑り落ちた。
落ちきったとこでオロチが私の顔を覗き込んだ。
「……ありがと」
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時