六十七 ページ17
『オロチはあなたに優しい言葉を使った。でもそれをあなたは受け入れなかった。だって自分は死ぬべき存在だって決めてしまっていたから。でも助かりたかった。だからハッピーエンドへ進めようとオロチを利用した。自分から幸せになろうとしたんじゃない、オロチが勝手に幸せにした。だから私は悪くないんだって考えてる。今もそうでしょ?だからあなたの心にいる外野が都合の良い娘って言うんだよ』
気づくと私たちは鉱山にいて、体は白い手に掴まれていた。
「違う!!私は都合良くなんかない……‼」
『本当は知ってるくせに。同情をかりたいんだもんね?オロチのこと大好きなんだもん。大好きな大好きオロチに大丈夫って言ってもらって頭をくしゃくしゃに撫でられたいんだよね?私の言ってることは全て本当だよ。その上でオロチはどうしてくれるの?』
石の中の私はオロチににっこりと笑った。
「……知らん」
途端拘束が解け、尻もちをついた。
オロチは私の前に立ち、石の中の私を見上げた。
「お前はAなのだろう。ならAが生物として何なのか分かっている筈だろう。Aは紛いも無い人間だ。化け物などではない。誰よりも特別に愛されて産まれて育てられてきた。人が死を恐怖するのは当たり前のことだ。助かりたいと思うのも当然のことだろう」
「……違うよ、オロチ。言ってることは全部本当。ずっと嘘付いた。演技した……。都合の良い奴なんだよ‼私は……っ、甘い言葉が欲しいだけの卑怯な奴なの……っっ‼同情をされたくて優しくされたくてわざと危険な目にも合おうとするイカれた奴なんだよ‼なんで責めてくれないの⁉私を卑怯って罵ればいいよ‼」
私はポーチから御札を取り出した。
「私、オロチのことなんか簡単に消しちゃえるんだからね……?オロチは私に甘すぎたんだよ。私、都合の良い娘らしい、から。知っちゃったオロチはもう、いらない。こんなのでも甘くできる?優しい言葉使ったり。そんな、こと。できないでしょ……?」
私の頭の中は真っ黒に満たされていく。
じりじりとオロチを追い詰める。
オロチの背と石が密着すると、私は逃げられないように片手を顔の横について片足を股の間から付いた。
「本当なに考えてるか分かんないよ、つまんない」
「……こんな形で目と目が合うなんて避けたかったな」
オロチは動揺を一切見せなかった。
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時