六十六 ページ16
飲み込まれた先に見えたのは箱。
木を叩く音。
皆真っ黒で、私も真っ黒だった。
「……ねぇ、おじさん。ママとパパは?どうして写真飾ってるの?皆泣いてるの?」
おじさんに抱きかかえられた小さな私は2人の写真を指差した。
おじさんは2つの箱の前に立った。
「……ママとパパは眠ってるの?」
「そうだよ。ちょっと疲れちゃったのかもね。ほら、さっき作った折り紙出してごらん」
言われるがまま、小さな私は向日葵の形に折られた折り紙を2つ出した。
「2人が起きたときに寂しくならないように側においてあげようね」
「……うん」
手を伸ばしてママとパパの手元に向日葵の折り紙を置いた。
小さな私は2人に手を振った。
おじさんが振り返ろうとした時、誰かが呟いた。
「……疫病神」
パパのママ、私のお婆ちゃんに値する人がふらりと立ち上がった。
「だから私はあんな田舎の山ん中にある怪しい家に婿入りさせるなんて嫌だったのよ‼あの女も頭がおかしかったし怪しいもん沢山置いてあるあんな物騒なとこ嫌だったのよ‼最悪よ最悪‼あの子は本当優秀な子だったわ‼なのにあの女に取り憑かれて一流企業に就職したのに簡単に捨てて、そんな可愛くない子なんて産んで‼全部あんたのせいよ‼この疫病神‼明彦を返せ‼」
「お婆ちゃん……?」
お婆ちゃんは凄い形相で私の前髪を鷲掴みにして引っ張った。
「やめろよ母さん‼Aちゃんはなにも悪くないだろ‼」
「煩い‼離せ‼気持ち悪いあざつけやがって‼きっと呪われているんだわ‼早く殺さないと私たちまで殺される‼」
暴れるお婆ちゃんを親戚たちはしがみついて止めた。
だけど皆考えは同じだった。
小さな私は怯え、おじさんに泣きついた。
『ここでようやく気づいたよね。皆、死ぬことを望んでるって。いい子で純粋なあなたは自分は死ぬべき存在だって決めた。なのに自ら死ぬ勇気はなかった。だから他者から殺されることを望み、自分は人を関わることを極端に遠ざけた。誰かから殺されることを望むなんて自分勝手だよね?でもあなたはそれをおかしいとは思っていなかった。あなたが妖怪に襲われるようになって皆あなたを狙っていた。その時こう思ったはずだよ。"化け物なら化け物に殺されたほうがいいんじゃないか。皆自分を狙ってる。私は死ねる"ってでもあなたには死ぬ勇気は全くなかった。なのに殺される"ふり"をした。だって本当は"助かりたかった"から。そこで偶然オロチが現れた』
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時