六十二 ページ12
「……これも奴の仕業だ。干渉なんてするな」
オロチはそう言ったけれど私は記憶の奥底の物を今、意思に反して目の前にぶち撒けられ胸糞悪い気分だった。
「分かってる」
違う。
そう違う。
仲良しなんてしていない。
都合良くなんてない……。
私は3年の間誰も関わらないように出来ていた。
きっと今だってこの先だってそう。
「……行かなきゃ」
都合良くなんてない。
私は考えることを振り返って先の道を急いだ。
この世界は随分と晴れやかで気持ちが悪い。
それは昔私が思い描いていた世界と酷似している。
雲ひとつない青空に大きな眩しい太陽。
明るい緑。
居る者は薄気味悪いモヤだけど精神世界というのはこんなものなのだろうか。
しばらく歩き続けていると洞窟が見えた。
「ここで行き止まりのようだ」
オロチが洞窟の中を覗き込んだ。
「どうやら鉱山のようだな……」
「……鉱山?」
私も中を覗いてみた。
壁にキラキラと光るものが見える。
トロッコが置いてあり、レールは奥へと続いているようだ。
カツーン、カツーンとピッケルで岩を叩く音が聞こえる。
「ちょット、ジャまだョ」
ピッタリを持ったモヤがえっさほいさと、中へ急いで入っていく。
「……奥に居る」
鉱山の奥深くから赤い目の気配が感じ取れる。
「いツマでぼーッとツったッテイルんダ‼さっサと入れィ‼」
背中から突然飛び蹴りをくらい前によろけた。
「さァ、オ前たチどンどん働ケぇ‼」
リーダーらしきモヤが他のモヤに命令を出す。
するとピッケルで岩を叩く音が早くなる。
「冷た……」
雨漏りもしているらしく至るところから水が染み出していた。
「行くぞ」
オロチはトロッコを無視してレールの上を歩いていった。
トロッコだけが入れるような道をずっと歩いていく。
壁から顔を出している虹色の石が光り、灯りがなくても歩ける程の明るさがある。
少し歩くと開けたところに出た。
「……綺麗」
その場所の中心には2メートル程大きく、白濁色の石が地面に突き刺さっていた。
割れ口であろう場所は虹色に光る。
近づくとその石の美しさに息を飲んだ。
「行き止まりだ。……おい、聞いているのか?」
オロチが顔の前に手を出してぶんぶん振ってようやく私は我に返った。
「……あまりよくない物のような気がする」
オロチはそう言って石の割れ口を指先で縦になぞった。
「それより先の道を探すぞ」
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時