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六十一 ページ11

「だ、誰かくる……‼」


半歩後ろへ下がる。


「やァ、お嬢さン。さっキは大変デしタナ」


「なんだこいつは」


オロチはモヤの老人を睨みつけた。


「さっキの騒ギで街ハ大騒ぎ。今は近づかワホうがえエ」


老人は杖を私たちの前でぶんぶん振り回す。


「そンな顔セんデえエよ。こコは夢でアリ、精神世界デもあル。怯エる必要はナいョ」


「精神世界……?」


老人は杖を太陽の方角へさした。


「アッちへ行けバワカル」


杖の先を見てもなにかがあるわけじゃない。

草原だけ。


「あの、ぁ、いない……」


気づくと老人の姿は無かった。


「行くぞ」


オロチは消えてしまった老人にすら気に止めず、示された方角へ歩いていってしまった。

オロチの背中からなんとなく誰も近づけがたい殺気のようなものを感じて私は3メートル程離れて後をつけた。

しばらく歩いていると遠くから歌声が聞こえた。


「この声……」


歌声のする方へ私は小走りした。


「先に行くな」


歌声はだんだんと近付いてくる。

いや、私たちが近づいているんだ。

ふと足を止めると草が丸く避けた道に小さな子どもの後ろ姿があった。

癖っ毛の強い髪はどうみたって私。


「さ、ご飯にしましょーね」


ちらりと人形の姿が見えた。


「……昔の私だ」


こうやって昔、人形とごっこ遊びをしていたことを思い出した。


「……私、一人ぼっちになっちゃった」


『だーいじょーぶだよ、私がいるでしょ?』


小さな私は裏声を使い一人二役で演じ始める。


「私疫病神なんだって。不幸にしちゃう悪い子なの。……きっとママもパパも私のこと嫌いだよね??」


『……そうかもしれないねー。君は人殺ししちゃったんだもん、仕方ないよー。凄く恨んでるよ。きっと皆、君を望んでない。だって殺人犯だよ?君の目は不幸にする。これからどうするの?死ぬ?』


小さな私は淡々と演じる。

まるで操られているように人形を操り自分を操る。


「死ぬのは怖いよ……でも誰かを傷つけるのはもっと嫌……」


『じゃあ、これからは人と目を合わせないことだね??それと仲良しも作っちゃだめ。私がいれば十分でしょ??私が君の味方だから守ってあげる。だからもう誰かと一緒がいいなんて思っちゃだめだよ?もし誰かと仲良ししちゃうなら……その子を"呪って"アゲル』


人形の目が赤く眩しく光った。

思わず目を瞑る。

光が無くなったと再び目を開けるとそこにはもう小さな私の姿は無かった。

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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アミュレット - 今日も良かったです! (2017年5月18日 20時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - やっぱりオロチは、カッコイイですね(*^^*)主人公が危機にさらされた時には、必ず助けてくれる。私、オロチに惚れ直してしまいましたww (2017年5月15日 21時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^^) (2017年5月15日 7時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - あと、一話で六十話ですね!焦らずゆっくりでも大丈夫ですので、更新頑張って下さい(*^^*)応援しています! (2017年5月14日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» 今書きますのでもう少し待ってて下さいね(^^) (2017年5月13日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年5月5日 18時

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