祓うべきもの壱【オロチ】 (ページ40)

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四十ページ40

「その人形はAに似ているな」

「……そう？」

私は人形の顔を見つめた。

ぱっちりの目ににっこりな口、黄色の花柄ワンピースを着て高い位置から三つ編みをしている。

「髪型と服……ね」

全然可愛くない。

髪型と服しか共通点が見つからない。

私こんなにこやかじゃない。

私は化け物同然だからこんな風になれない。

きっと一生無理。

「そんな暗い顔するな。Aの方が……いや、なんでもない。気分転換に外に出よう」

そう言ってオロチは障子を開けた。

真昼の光が差し込んだ。

「……いかないよ。一人で行ってきて」

私は外へ背を向ける。

「……私はなんともないぞ。Aが思っている程ひ弱じゃない。……あれは
自分の意思で無抵抗だっただけでやる気になればあんな場所一瞬で消し去っていた」

「……じゃあなんでそうしなかったの？やっぱりおかしいよ」

オロチは背を向ける私に向かって腰をおろした。

「それは取り引きだったからだ。Aの呪いが解けるのなら逆らえないだろう」

「だから、それがおかしいって言ってるの。なんでオロチはそんなこと言うの……？オロチが傷つく必要ないのにどうして？」

オロチは黙ったまま、私の前に片膝をついた。

「なにを言ってもAは信じないだろう。だが心の中では信じていたいという思いもあるはずだ。私は言った。……今はそれでいいと。きっとAがらしくいられるときが来る」

「……聞きたくない、私分かるんだよ。オロチなにか私に隠してる。個人的なことは関係ないとか言ったけど……どうしても個人的なことって思えない……。全部全部嘘に思えてくる……」

私は耳を塞いで塞ぎ込んだ。

いろんな考えが巡り巡っては私をかきまわす。

ぐちゃぐちゃで、絡まり絡まって端と端が見つからない。

めちゃくちゃに思って考えて答えなんて出ないし端から問題すら分からない。

私はただ誰も傷つけたくないだけ。

そのはずなのに、それは綺麗事と言われるだけ。