三十三 ページ33
私はベッドからおりると部屋を出た。
なんで私はこんなにイライラしているのだろう。
「言えるわけが……ない」
夜のこと。
九時になって寝ようと2階への行こうとすると玄関がガチャリと開いた。
「ただいま、まだ起きてたんだね」
公彦おじさんは通勤カバンと別に白いスーパー袋を持っていた。
「もう、寝る……」
私は急いで階段を駆け上がった。
部屋に戻るとオロチはクッションを床に置いて寝そべっているとこだった。
「……ごめんなさい」
「謝ることではないだろう。仕方のないことだ」
オロチは腕を組んで目を瞑ったまま、難しい顔をしていた。
「もう一枚あるからこれ、使って」
私はタオルケットを引き出しから取り出すとオロチに被せた。
「……ありがとう」
なにかがぎこちなくてもやもやする。
電気を消して布団へ潜った。
「……A」
布団に入ってしばらくしてオロチが呼んだ。
「……寝ているか」
ふう、とため息をついていたのが分かった。
「……起きてる」
体の向きを変えた。
オロチの姿は見えないけれど、気配ですぐ近くにいるのを感じとれた。
「……確かに、私はAに隠していることがある。……嘘もついている」
「……うん」
雲に隠れていた月が顔を出し、窓から月光がさしこんだ。
金色の瞳と視線が合った。
思わずタオルケットを顔まで被って隠れた。
「……だが、信じてほしい。本当に、私はAを守りたいと思っている」
声が耳元で聞こえた。
「……嘘って、私を殺すことでしょ。……大丈夫、オロチからならいつだって覚悟は出来てる。隠し事のことだってなんでも打ち明けるような仲じゃないし……。誰だって1つや2つ誰にも言えないことがあるでしょ?問い詰めたりなんてしないよ」
「……そうか」
気配は少し遠ざかる。
こっそり覗いてみるとオロチがタオルケットを被って寝るところだった。
約束とか、言ってることが互いに有耶無耶過ぎて余計分からなくなる。
言われてみればそうだ。
私とオロチは近すぎる。
好意があっても近づいてはいけない。
距離をおかなきゃ……。
もっともっと……。
そうじゃなきゃまた私は大切な人を失ってしまう。
所詮私とオロチは他人で妖怪と人間という相容れない存在。
私という空間に誰も入れてはいけない。
これからはもっと距離を置かなくちゃ。
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剣城京菜(プロフ) - 浅葱さん» ありがとうございます頑張ります(^^) (2017年5月1日 9時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - 不器用な感じが良いです更新頑張って下さい (2017年4月30日 23時) (レス) id: c9c24569e0 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - シオン!!さん» ありがとうございます頑張ります!! (2017年4月10日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
シオン!! - 頑張ってくださいね! (2017年4月9日 2時) (レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - *gami*さん» ありがとうございます!!頑張ります(^^) (2017年4月6日 0時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年4月4日 19時