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三十一 ページ31

体にぎりぎりと締め付ける痛みを感じた。

少しどころじゃない。

苦しい程に激しい痛み。


「どうした‼」


オロチが私の肩を持つ。

視界がぐらん、と歪んで椅子から転げ落ちた。

目を開けると私は暗い宇宙空間で漂っていた。

星たちはキラキラと光り、1つ触れようとすると光を失った。

もう2つ、近くにあった星が同時に光を失った。


「どこに……向かっているのかな」


そして目の前に眩しい程に光る星を見つけた。

一際大きくて、とても優しい光。

その星は私の周りをくるくる回り、時折私の頬をつっついた。


「くすぐったいよ……」


触れるとその星はされるがままに私の手の中におさまった。


「あったかいな……」


星に耳をあてるとなんとなく鼓動が聞こえる気がした。

ふわり、と地に足がついた。

と言っても地も宇宙空間で本当に地についているのか定かではない。

でも自由に体を動かせるし足踏みもできる。


「いたっ」


こつん、と頭になにか当たった。

地面を見ると光を失った星があった。

ふと上を見上げるとキラキラ輝いていていた星たちは1つ、2つと光を失っていく。

全ての光を失くすとざららら、と星たちがまるで土砂降りの雨のように
落っこちてきた。


「い、痛い痛い痛い」


まだ光を持っている星を抱きかかえ、私はしゃがみこんだ。

やがておさまると私は顔をあげた。

そこには星たちの無残な姿があった。

とくん、と抱きかかえていた星が脈打つ。

手を開けると綺麗な星は光が無くなり、砂になって指の間からすり抜けてしまった。

なにも無くなった手のひらにぽたりぽたりと涙が落ちた。

理由なんて分からない。

ただ、凄く悲しい。


「何故泣いている」


そう声をかけたのはオロチだった。


「赤い目……」


「……あっはははは‼流石に二度は通用せんな‼」


すると赤い目はただの人影となった。


「なんでここに……っっ」


「言っただろう。我ははいつでも貴様らを見ていると。ここに連れてきたのは我だ」


赤い目はにやりにやりと笑う。


「時に不幸の子よ。無知というのは恐ろしく残酷なものだと思わないか?」


赤い目はくるりと踵を返した。


「いや、こんな哲学必要ないだろう。もし今小さくともプラスの感情を感じ取っているのならそれはすぐに破棄すべきだ。何故ならプラスの感情を与えたものはとんだ嘘つきなのだからな」


「……嘘つき?」


深く淀んだ赤い目に私は恐怖を覚えた。

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - 浅葱さん» ありがとうございます頑張ります(^^) (2017年5月1日 9時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - 不器用な感じが良いです更新頑張って下さい (2017年4月30日 23時) (レス) id: c9c24569e0 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - シオン!!さん» ありがとうございます頑張ります!! (2017年4月10日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
シオン!! - 頑張ってくださいね! (2017年4月9日 2時) (レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - *gami*さん» ありがとうございます!!頑張ります(^^) (2017年4月6日 0時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年4月4日 19時

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