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三十 ページ30

そういえば髪のセットしないで家を出たから寝起きの頭だった。

ゴムを外すと癖っ毛の髪は爆発したかのように広がった。


「……今度はオロチだよ」


鏡台の前に座り、櫛で髪をとかした。


「……そうだな。まずは生前のことでも話そうか」


オロチは私から櫛をとると私の髪をそれでとかし始めた。

大人しく手を膝に置くと鏡の中で金色の瞳と目があった。

オロチはぽつりぽつりと昔の話をし始めた。


「死んだら死んだままでいれないの?」


「……普通はそうだろう。だが思いが強すぎた故に妖怪と化した人間は数多くいる」


思いが強すぎた故に……。


「オロチが探している人はオロチが妖怪になったことに関係があるの?」


そう聞くとオロチの瞳が暗く濁った気がした。


「……ああ、もしかするとそうかもしれないな。……なんとも言えん」


「ふーん……」


髪をとかし終わるとオロチは三つ編みに結い始めた。

そんなこともできるのだとまじまじと見ていたけれど癖っ毛のせいでなのかうまく結えていなかった。

自分でやると言っても、ムキになってるのか無視して何度も結い直していた。


「もうこれでいいだろう」


最終的には諦めて耳くらいの高さの二つ結びにされた。


「左右で高さ違うし……。それにこれだと髪が絡まって邪魔。やり直し」


「十分可愛い」


そう言ってオロチはベッドに腰掛けた。


「……ああ、そうだ。ハサミはあるか」


「あるけど……もしかしてぶすりってする?」


引き出しから工作用のハサミを取り出し、オロチに手渡す。


「こんなもの柔すぎて使えん。体をこっち向けろ」


言われるがままに体をオロチの方へ向け、対面する。

オロチは私の前髪に触れた。

私は手をはらっておでこに両手を合わせ隠した。


「……目が見える程に切るだけだ」


「やだ」


部屋から逃げてしまおうとオロチの脇をすり抜けようとすると、あっさりオロチに後ろから羽交い締めにされた。


「いやー変態‼ロリコンだーっっ」


じたばたしても逃げられることはなかった。


「初対面に裸体晒した奴がなにを言っているんだ」


それはごもっとも。


「でもタオルとったのはオロチだもん……」


抵抗する気力が失せた私は大人しく椅子に座った。


「絶対に切りすぎないでよね?ねぇハサミ使ったことあるよね??そんな持ち方みたことない」


オロチは正しくハサミを持ち直し、刃を前髪にあてた。

ぎゅっと目を瞑った時だった。

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - 浅葱さん» ありがとうございます頑張ります(^^) (2017年5月1日 9時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - 不器用な感じが良いです更新頑張って下さい (2017年4月30日 23時) (レス) id: c9c24569e0 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - シオン!!さん» ありがとうございます頑張ります!! (2017年4月10日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
シオン!! - 頑張ってくださいね! (2017年4月9日 2時) (レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - *gami*さん» ありがとうございます!!頑張ります(^^) (2017年4月6日 0時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年4月4日 19時

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