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二十七 ページ27

下駄箱を出て外でうろうろしていると三階の窓から理科の先生がこちらを見ているのに気づいた。


「さっき廊下でこれを見つけてね」


理科の先生はその窓から1枚、紙を落とした。

ひらり、ひらりと舞い、私は右へ左へと紙を掴もうと手を伸ばす。

今度こそ、私はそれを空中でキャッチした。

それはあの時と同じボロボロの札だった。

だけど、書いてあるものが少し違うように思えた。

ふと窓に視線をうつすと理科の先生は居なかった。

私はその札をぎゅっと握ると屋上へ続く扉へ走った。

階段を駆け上がるとあの時のように光が見えた。

私は持っていた札をそれに合わせた。

すると光を放ち、札は消えてしまった。

外は真っ暗で街灯の光もなく、月も雲に見え隠れする程度だった。

黒い植物のつるが生い茂り、足場の踏み場もない。

それでも私はつるを踏みつけていった。

鳥籠中心につるがはえ、オロチの姿を確認することができない。

でもその中にオロチがいる。

私は手当り次第につるを引きむしった。

葉の間にきらりと金色が見えた。


「オロチ……」


ようやく顔が現れる程になる。

閉じかける瞼を見て私は肩を揺らした。


「何故……ここ…に、きた……」


途絶え途絶えの声でオロチは私にその金色の瞳を向けた。


「あっはははは‼」


腸が煮えくり返るような笑い声が響いた。

するとつるが燃え、オロチは力なく私の上に倒れ込んだ。

重さに耐えきれず尻もちをつく。


「なんて愉快なんだろうな」


月の光を背後にオロチの姿の赤い目がぎらぎらと光った。


「……最低」


出てきた言葉はそれだった。


「……最低?何を人聞きの悪い。我は己の欲望に忠実なだけだ。それに最低なのは貴様らだろう?なにが約束だ。叶えられぬのに望まぬのになにが約束だ。戯言は寝て言え」


私は唇を噛んで赤い目を睨むことしかできなかった。


「そう、その顔……なにも手出しできず誰かを傷つけることしかできぬ無能さを噛みしめるがいい」


ふとオロチの指先が動いていることに気づいた。


「貴様には関係のないことだろう……」


「う、動いちゃだめ……」


オロチの腕は力なく垂れる。


「娘よ、貴様その小僧に好意を抱いておるのだろう?友情か愛情かそれはさておき、その小僧は貴様に嘘をついた。……なんのことかわかるだろう?」


「……っっ」


私は俯いた。

ぼろぼろの姿になったオロチを見て痛くなった。


「だって……オロチは……っっ」

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設定タグ:妖怪ウォッチ , オロチ , 剣城京菜   
作品ジャンル:アニメ
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剣城京菜(プロフ) - 浅葱さん» ありがとうございます頑張ります(^^) (2017年5月1日 9時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - 不器用な感じが良いです更新頑張って下さい (2017年4月30日 23時) (レス) id: c9c24569e0 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - シオン!!さん» ありがとうございます頑張ります!! (2017年4月10日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
シオン!! - 頑張ってくださいね! (2017年4月9日 2時) (レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - *gami*さん» ありがとうございます!!頑張ります(^^) (2017年4月6日 0時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年4月4日 19時

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