二十六 ページ26
「あっはははは‼愉快なものだ‼我をあの幼子と思っていたのだな⁉それを知らず心のうちを打ち明け触れることでさえ自ら望んだ‼だがそれは誰だ⁉我だ‼我はあの幼子などではない‼」
赤い目は私の首を掴むと壁に叩きつけた。
「その顔……最高だ。それは我が見たかったもの、愉快なものだ。……もう限界か?人間は軟弱だな」
手をパッと離され、私は尻もちをついた。
苦しい。
痛い。
「悪いが我も殺すなどはしまい。不幸の顔を見るのが趣味でな。こんなところを見てあの幼子はどう思うのだろうな?」
「みて……るの……?」
赤い目が手のひらを出すとそこから火の玉が8つ現れ、それは丸になるよう配置された。
今度は文字ではなく、暗く、静かな場所が映し出された。
「A……くるな……」
「オロチ……?」
目を凝らして、ようやくそれが何なのか分かった。
ぼろぼろの傷だらけになって赤い血を垂れ流すオロチの姿が。
体は黒い植物のつるのようなもので固定されていて……。
「あまりにゆうことを聞かなかったのでな、少々痛めつけてやったわ」
「そんな……」
痛めつけられて、それを見て私は頭の中でぐるぐると昔の光景を巡らした。
「何故そんな浮かない顔をする?貴様にとって妖怪とはいいものではないはずであろう?喜ぶべきだろう?」
赤い目はわかったような顔をして私を見下す。
あれ、私は……。
私はまた……。
「……良い夢を。哀れな不幸の子よ」
目を覚ますと私は自分の部屋のベッドの上で布団を被って眠っていた。
「あ、れ……?」
夢……?
私は手鏡で自分の顔を写した。
首に人の手の形が薄っすらと残っていた。
急いで服を着替え、作り置きされたご飯そっちのけで私は家を飛び出した。
学校について屋上へ走った。
「……っっ開かない……‼」
いくら回しても開くことはなかった。
「こんなところでなにをしているんだい」
振り向くとそこには理科の先生がいた。
「危ないから屋上は出入り禁止だよ」
「そう……です、よね……」
理科の先生は腕時計に目をやった。
「それとそこの扉、立て付けが悪いのか鍵を開けてもあかないんだよ。なんでだろうね」
理科の先生は見透かしたような目で私を見た。
「あ、その……私帰ります……」
そそくさとその場を去った。
そもそもあの世界に入ってしまったのは……どうして?
なにか前触れがあったわけじゃない。
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剣城京菜(プロフ) - 浅葱さん» ありがとうございます頑張ります(^^) (2017年5月1日 9時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - 不器用な感じが良いです更新頑張って下さい (2017年4月30日 23時) (レス) id: c9c24569e0 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - シオン!!さん» ありがとうございます頑張ります!! (2017年4月10日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
シオン!! - 頑張ってくださいね! (2017年4月9日 2時) (レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - *gami*さん» ありがとうございます!!頑張ります(^^) (2017年4月6日 0時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年4月4日 19時