二十 ページ20
最終的にキャッチしたのはオロチだった。
「……護符か?」
「護符?」
その紙はやけにボロボロだった。
赤と黒の殴り書きのようなものが書いてある。
「紙にまじないを印したものだ。災厄から身を守る役割があるらしいが」
「昔アニメで陰陽師がそれっぽいの使ってるのみたことある」
陰陽師については詳しくは知らない。
幽霊や妖怪の類を祓う、そのくらいの程度の知識だけ。
それより陰陽師なんて今どきいるのだろうか。
「……持っていて平気なの」
「陰陽師が書いたものだとして効果があるのかは知らない……もしくは護符ではないかもしれないな。……どっちにしろ私には使いこなせないだろう」
オロチはそれを私に手渡した。
渡されても困る。
使いこなせないのは一般人の私も同じだ。
祓われる側のような気がしてならないが……。
「……」
ふと廊下の窓から外を見回した。
夜の景色と言うだけで街の風景は変わらない。
「……っっ‼」
窓から見える私の後ろにギラリと赤い目が光った。
「きゃ……っっ」
逃げる間もなく私はその図体のでかい二足歩行の化け物に体ごと掴まれ身動きが取れなくなった。
ジタバタしてもビクともしない。
「やまたのおろち‼」
引き裂く音と同時に体の拘束は解け、お尻から落ちた。
振り返るとまたあの時のように切り口からは黒い血がどろどろと流れ出ていた。
「う、うぇ……っっ」
その後ろにさっきまで居なかったはずなのに倒れているのと同じものが数体赤い目を光らせてこちらを見ていた。
「……逃げるぞ」
オロチが私の腕を引っ張り向こうの様子を伺う。
私はその腕を振り払った。
「……オロチだけ逃げて」
「まだそんなことを言うのか‼」
耳に響くほど怒鳴られた。
「立てないのなら私が抱きかかえてでも連れていく‼」
オロチは私を脇に抱えて飛び出した。
図体のでかい化け物たちはこちらへ向かって走ってきている。
徐々に間合いは近づいている。
図体がでかいくせに早い。
あ……私が……。
私がいなければ早く逃げられている。
「……疫病神」
そう呟いた瞬間、私は床と激突した。
「しまった……‼」
あっという間に私は化け物に囲まれてしまった。
逃げ場がない。
それは私が望んだこと。
これ以上私は誰も殺さなくていいんだって思った。
……私を殺して。
意を決して目を閉じた。
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剣城京菜(プロフ) - 浅葱さん» ありがとうございます頑張ります(^^) (2017年5月1日 9時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - 不器用な感じが良いです更新頑張って下さい (2017年4月30日 23時) (レス) id: c9c24569e0 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - シオン!!さん» ありがとうございます頑張ります!! (2017年4月10日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
シオン!! - 頑張ってくださいね! (2017年4月9日 2時) (レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - *gami*さん» ありがとうございます!!頑張ります(^^) (2017年4月6日 0時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年4月4日 19時