十二 ページ12
「埒が明かないから単刀直入に言わせてもらう。私をこの家に少しの間置いて欲しい」
「……はぁ」
私はなんとも言えない間抜けな声を吐いた。
「私は人間界でとある人物を探している。だが妖魔界と行き来するには効率が悪すぎる。だからここを拠点としたいのだが」
「……なんで私なんですか」
私は目一杯迷惑顔で訴えた。
「基本的に普通の人間には見えないからな」
「……私ってそんな希少価値なの」
彼は表情を一切変えない。
なにを考えているか分からない。
「そうだな。Aの様にウォッチもつけないで見えるというのは珍しい方だ」
「ウォッチ……?」
聞き返したが彼は何も答えなかった。
「……分かりました。でも、ただじゃない……約束。私を殺してください」
彼は眉をひそめ返事を渋った。
「……分かった。だが今すぐじゃない。私の探す相手が見つかってからだ」
「……絶対」
そう約束したものの私は半信半疑だった。
相手は妖怪だ。
信じてはいけない。
嘘で油断したところを殺しても同じ。
どのみち願いは叶うんだ。
「ゔ……」
突然吐き気を感じ私はトイレに駆け込んだ。
「はぁ……」
トイレから出て私はため息をついた。
気分悪い。
「あの、そんなとこ突っ立ってないで入って……下さい」
彼は玄関前にずっと立っていた。
ようやく入るときょろきょろとあたりを見回した。
「昨日の奴は居ないのか」
「……公彦おじさんは会社です。あ、公彦おじさんは絶対に殺しちゃ駄目だよ。おじさんは普通の人だから」
彼は小さく頷いた。
「……昨日から思っていたんだがその喋り方はなんだ。……変だ」
「……別に、ついというか。気使う必要無さそうだから普通に喋るし」
私は自分の部屋に戻った。
彼も入れたのだけれどやたら部屋を観察したがった。
聞いたところ私の名字を知りたいらしい。
というかそもそも私は彼の名前を聞いていない。
非常識だと言うと彼は"オロチ"だと名乗った。
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剣城京菜(プロフ) - 浅葱さん» ありがとうございます頑張ります(^^) (2017年5月1日 9時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - 不器用な感じが良いです更新頑張って下さい (2017年4月30日 23時) (レス) id: c9c24569e0 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - シオン!!さん» ありがとうございます頑張ります!! (2017年4月10日 16時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
シオン!! - 頑張ってくださいね! (2017年4月9日 2時) (レス) id: 4af10f54a6 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - *gami*さん» ありがとうございます!!頑張ります(^^) (2017年4月6日 0時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年4月4日 19時