私が私でいるべき理由 2【オロチ】 (ページ13)

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「ずっと怖かった……っっどうしたらいいのかわかんない……っっ!!仲良くしていたいから頑張ったのに空回りばかりして、やっと落ち着いたと思ったのに……っっ全部嘘だって……っっ!!そしたら何もかもどうでもよくなっちゃって……っっ!!誰かを恨む自分が大嫌いで……っっ気づいたら自分のことすらまともに分からなくなった……っっ!!でも1人は怖い誰かと繋がっていたい……っっ!!私が私でいれるところでもう一度やり直したいよ……っっ」

私は私が思っていたことを出る限り言葉に出した。

締め付けられるように痛くて辛くて、だけどそれと同時に解放されたようなそんな気持ちだった。

「辛かっただろう。だがそれでいい。今のAは正しい」

オロチは手を離すと私の前髪をかきあげた。

「もう1人で迷うことはない……。思うように行動すればいい。私がついていよう」

そしてオロチは微笑んだ。

「……なんかオロチ、今日だけはカッコ良く見える」

鼻をすすってオロチの肩に顎をのせた。

「今日だけとは聞き捨てならないな」

「あー、そう言うこと言うんだ。そう言うこというとモテないんだよ」

このやり取りに私とオロチは少しだけ笑った。

「素直になれないのは昔からだったが昔より捻くれたか」

「……そうかもね」

気づくと外は真っ暗。

いい加減に部屋の電気もつけて私たちは散らかした物を机に片付けた。

また明日も学校。

そう考えると嫌になってくるけどいつもより数倍心が軽かった。

よく考えると私は目の前の物しか見えていなかったんだと思う。

過去の世界で私が私であっても受け入れられたのだからきっとこの時代にも私が私でいられるところがあるのだろう。

「オロチ……本当に着いて来てくれる？」

「あぁ」

ガチャリと玄関が開く音が聞こえた。

いつも足音は階段の下で止まる。

だけど今日は違った。

「A、ちょっとおいで」

「なに？」

部屋の扉を開けるとお母さんは少しだけいつもより声のトーンが低くこう言った。

「あんたにはいろいろ迷惑かけるわね」

お母さんはその細く大きな手で私の頭をぐちゃぐちゃと撫で回した。

「お父さんね、ようやく帰って来れるんだって」

「本当??」

お母さんは笑って頷いた。