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「じゃあ、オロチは元は人で妖怪になったわけ?」
オロチは頷いた。
「私が生きていた時代はあの時代だ」
「ふぅん……じゃあもしかしたらあの村にオロチ居たりして」
冗談でそう言うとオロチは笑って
「そうかもしれないな」
と言った。
「明日は学校だ。早く寝るといい」
「そうだね。なんか疲れちゃったけどまだ早すぎじゃない?」
時計を見るとまだ3時にすらなっていなかった。
流石に早すぎだろう。
「ま、早くに寝るけどさ。流石に早いしごろごろしてるし」
と言って私は本棚から本を取り出し、ベッドで寝転んで読み始めた。
「Aは昔のことはどれくらい覚えているんだ」
と、オロチは私に質問を投げかけた。
「昔のこと?……てどのくらい?」
「……産まれるまで」
と、オロチは答えた。
「範囲広いな。……物心ついてからは本当に嬉しかったことは覚えてるよ。でも1番人の記憶に残ることってさ、だいたい嫌な記憶なんだよね……。失敗したこととか、人から痛みを受けた時とか。それに対してははっきり覚えてるんだよね」
オロチは私の横に座り、何故か頭を撫でた。
「なだめてんの?気持ち悪いからやめて」
パシン、とオロチの手を振り払った。
「……明日学校だな」
「いや、だからさぁ……。……もしかして心配してくれてるの?」
そう聞くとオロチは私をじっと見つめ静かに頷いた。
「オロチってなんか不器用?」
嫌味で笑うとオロチは
「A程ではないが」
と、そっぽを向いた。
「私決めたの、自分の意志には背かないって。絶対に明日は言ってやる」
強く意志を持つものの、内心怖かった。
この意志を貫くというのは悪い方向かいい方向に大きく"変わる"ということだからだ。
「怖がらなくていい。私が居てやろう」
「……ほんっと迷惑」
と言いつつ私は気づかない間に安心していた。
嫌っていたオロチに少しばかり"信頼"というものを寄せ始めているのだろうか。
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詩帆(プロフ) - 50票目貰った・・・・・・! (2021年9月27日 17時) (レス) @page23 id: 46695abdda (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - あぁあ…この小説も好き過ぎるわぁ… (2019年5月25日 20時) (レス) id: ebf4a6617f (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» はい!!頑張ります!! (2017年4月1日 17時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - これからも、頑張って下さいネ(^O^) (2017年4月1日 15時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます(>ω<) (2017年3月31日 11時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2017年3月29日 2時