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「ただいま」


家に帰るとお母さんがキッチンから顔を出した。


「おかえり。今日のご飯はオムライスよ」


「……ねぇ、お母さん」


とんとん、とまな板が包丁にリズミカルに叩かれる。


「……妖怪とか幽霊って居ると思う?」


「んー、そうねぇ……。……妖怪?」


お母さんは手を止め、こちらを見た。


「そういえばあんたちっちゃい頃に私、妖怪とお友達なんだよって言ってたわねぇ……。ていうかあんた今でもそういうの信じてるじゃない」


お母さんはにっこりと笑ってまた、まな板が包丁にリズミカルに叩かれた。

それ以上の会話はないようなので私は自分の部屋に戻った。

本当におかしなことだ。

あの男の子は未だに私の後を金魚の糞のようについてくる。

お母さんには見えないらしい。

部屋に入ると私は後ろを振り向いた。


「……いつまで居るの?」


「……しばらく厄介になると言っただろう」


不思議な格好をした男の子は部屋を見回した。


「……もう少し綺麗に出来ないのか」


「うるさいな、ほっといてよ」


私はベッドに座った。


「……で、一体何者なの」


私は機嫌がすこぶる悪く、男の子を睨みつけた。


「私の名は"オロチ"。……妖怪だ」


「妖怪?そんなのいるわけないじゃん……。妖怪なんて人間がつくりだした想像上の化け物だよ」


口ではそう言うものの頭の中ではもしかしたら本物なのかもしれないと、矛盾した思いがあった。

しかしお母さんに見えなかったと言うことは普通の人間でないことは間違いなかった。

もしくはただの幻覚。


「厄介になるとか言ってるけど、私そんなの認めてないんだけど」


「……見返りだ。今はそれでいい」


そう言うとオロチというのは私に何か小さいものを投げてきた。

それはあの木に引っかかっていたガラス玉だった。


「見返りって……勝手すぎるんだけど」


私はそれをまたオロチに投げつけた。


「勿論いつまでもいるわけではない。用事が済めば私はここを去るつもりだ」


オロチは私に近づき、それを私の首にかけた。


「……もういいけど、それなりに約束ごとは守ってもらうけど」

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剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^_^) (2017年3月28日 22時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - 初めまして!この小説は、とても面白かったです(≧∇≦)これからも、応援します! (2017年3月28日 14時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ライラさん» ありがとうございます^ ^頑張ります!! (2016年3月28日 2時) (レス) id: cbfb8f7736 (このIDを非表示/違反報告)
ライラ(プロフ) - 面白いですね!!続きが楽しみです、頑張ってください(o^^o) (2016年3月27日 12時) (レス) id: 28c829f7f7 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます^ ^ (2016年2月1日 20時) (レス) id: cbfb8f7736 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年1月11日 11時

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