私が私でいるべき理由【オロチ】

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世界がオレンジ色に染まり、黒い影が長く伸びる。


「また明日な〜っっ」


2人は遠くで手を振った。

それに答えるように私は大きく手を振った。

綺麗な夕方の景色が滲んだ。

瞬きをすると大粒の涙がぼろぼろと零れた。


「……どこか痛いのか」


男の子が顔を覗き込んだ。


「……ううん、よくわかんない。でも……凄い楽しかったの。誰かと遊ぶのってこんなに楽しかったんだって……。私、こんなに楽しいって思ったの初めてなの……皆、私のことつまんないって嫌いって。頑張って皆に合わせてみたけど、結局同じだったんだ。全部嫌いになっちゃったんだ……。でも、ここは安心するの。なんでだろうね……？ すっごく楽しいの。今度は私だけじゃなくて皆が私を楽しいって思ってくれるといいな……」


私がそう言うと、男の子は私の手を繋いだ。


「思っているさ。あいつらも、私も」


初めてかもしれない。

誰かといる温かみを感じるのは。

誰かと居たいと感じるのは。


「帰ろう」


家族ではない誰かを好きだと思ったのも、初めてだった……。

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