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お風呂というものはなんて気持ちのいいことだろう。

どんなに胸くそ悪いことがあってもお風呂だけは気持ちのいいことには変わりない。

扉を開けた瞬間に廊下に煙が流れて行く。

濡れた髪でバスタオルを首にかけ、ぺたぺたと素足で廊下を歩いた。

階段を上がる時部屋に1人、オロチがいたことを思い出した。

あの部屋の主は私だ。

なにも気にすることはない。

私が主導権を握っているのも事実。

堂々と部屋の扉を開けた。


「遅かったな」


オロチは勝手に人のベッドに座っていた。

私は目を丸くした。

この状況、オロチが勝手に人のベッドに座っているのはまだいい。

私が言いたいのはさっきまで本が床に散乱していた状況が今では全くもってかけ離れていたことだ。

完璧にフローリングの床が見えている。

他の人から見たらそれは普通のことなのかもしれない。

しかし私にとってこの状況は普通ではなかった。

言い訳ではないが、別に片付けが嫌いだとか苦手だとかそういうわけではなかった。

はたまた、手の届く距離にあることが便利というわけでもない。

むしろどこにしまったか分からないほどであった。


「……勝手なことしないで」


本棚に目をうつすと散らばっていた本が綺麗に背表紙が揃われていた。

一巻以上あるものはそれもきちんと番号通りに並べられていた。


「私寝るからさっさとどいて」


腕を引っ張って無理矢理そこから移動させた。

電気を消して布団に潜り込んだ。

ふうっと息をついてすぐ、ぱち!という音と共に部屋の電気がついた。


「なんなの」


じろりとそちらを見た。


「まだ終わっていないだろう」


「だからなにが……っっ」


うんざりしながら体を起こした。

気づくとオロチの手にはドライヤーが握られていた。

髪を乾かせということか。


「うるさいな、私に構わないで」


無視して布団を頭から被った。

必死に眠ろうとすると、ドライヤーの電源をつけたり消したりとうるさい。


「あー、もうわかったって!!うるさいよ」


オロチからドライヤーをひったくって机に置いてあった櫛を使って髪を乾かした。

すると手に持っていたドライヤーが突然なくなった。


「……あのさぁ、ほんっとにいい加減にしてくれないかな」

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剣城京菜(プロフ) - アミュレットさん» ありがとうございます、頑張ります(^_^) (2017年3月28日 22時) (レス) id: d8b1658e8e (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット - 初めまして!この小説は、とても面白かったです(≧∇≦)これからも、応援します! (2017年3月28日 14時) (レス) id: f72bc11f9a (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - ライラさん» ありがとうございます^ ^頑張ります!! (2016年3月28日 2時) (レス) id: cbfb8f7736 (このIDを非表示/違反報告)
ライラ(プロフ) - 面白いですね!!続きが楽しみです、頑張ってください(o^^o) (2016年3月27日 12時) (レス) id: 28c829f7f7 (このIDを非表示/違反報告)
剣城京菜(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます^ ^ (2016年2月1日 20時) (レス) id: cbfb8f7736 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城京菜 | 作成日時:2016年1月11日 11時

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