なむおりふれんず！ (ページ31)

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“弱い”くせにページ31

前々から姉貴はそうだった。

全部自分でやろうとして、全部自分で解決しようとして。
他人に弱い所を見せようとしないで、そのくせ他人の弱い所は救おうとして。

ノイズのことだってそうだ。

姉貴はハッキリ言って弱い。
少し本気を出せばまあ、強くなるっちゃなるが、それでも手加減した俺よりも弱い。
そんな実力でノイズに挑もうだなんて、『喰ってください』って言ってるようなもんだ。

それでも、姉貴は戦おうとした。
ノイズのことを話した途端、『自分でも倒せるか？』と聞いてきた。

……無理だ。
なんで弱いくせに戦おうとするんだ。
あの時だって怖くてノイズの所に行くことすらできなかったのに。
確かに今回は初めてノイズが出てきたわけだから怖いのは仕方が無かったかもしれない。

でも、次に奴が出たら、絶対に姉貴は行く。
俺がこんだけ怪我したのを見たんだ。次に出たときは、絶対に戦いに行く。
……最悪、1人で行く。姉貴なら行きかねない。

俺はどうすりゃいいんだ。
今回だって正直言って危なかった。
無限さんがたまたま来てくれたからこうして今生きていられるんだ。
誰も助けに来なかったら、俺は冬竜に止めを刺されて死んじまってた。

このままじゃだめだ。
きっと次に来るノイズは冬竜に取り憑いた奴より強い。

……そうなったら俺はまた“姉貴”を守れずに終わるのか？
何もできず、何も気づけずに、また――

――兄さんっ！！

きさま「！？」

俺ははっとした。
呼びかけに反応して声のした方へと顔を向けると、俺の顔をとても心配そうに見つめるまだまの姿があった。

きさま「……あ」
まだま「……兄さん…………本当に大丈夫ですか？…………ぼーっとして……僕が兄さんを呼んでも全然反応してくれなくて……」

……ああ。
本当に最低だ。
こいつは何のために俺の部屋まで来たんだよ。
こんな泣きそうになるまで心配させて……俺は……

……結局、俺は最終的な局面を迎えるまでなんにも気づいてやれないんだ。

なーんにも変われてない、なーんにも。

きさま「……ごめんな。まだま」

俺はどんな顔をしてまだまに『ごめんな』なんて言ったんだろう。

まだまはしばらく俺を悲しそうに見つめた後、唇を強く噛んで俯いたまま、何も言わなかった。