なむおりふれんず！ (ページ20)

今日:6 hit、昨日:7 hit、合計:4,502 hit

乱ノ屋敷ページ20

さいたま「わぁ……」

さいたまは目の前の屋敷の大きさに思わず感嘆の声を上げた。

さいたま(立派なお屋敷だなあ……。門も凄く大きいし、お庭も丁寧につくってある……。わっ！このいっぱいなってる赤い実……なんだろう？)

そんなことをぼんやりと考えていると、「おーい！」という、元気で可愛らしい声が聞こえてきた。

さいたまが声のする方を向くと、角と尻尾の生えた、さいたまより少し背の小さい可憐な少女がこちらへと小走りで向かって来ていた。

少女はさいたまのすぐ近くまで来ると、さいたまを見上げ、ニコッと笑った。

少女「はじめまして、だな！己れは双竜の乱だぞ！お姉さんは？」

さいたまも笑顔で双竜ノ乱と名乗ったその少女に自己紹介をした。

さいたま「はじめまして！私はさいたま2000だよ！よろしくね！」

さいたまは双竜に手を差し出した。
双竜もまたさいたまに手を差し出して、さいたまの手を握った。

双竜「よろしくなー！」

双竜は握っていた手を離して、

双竜「こんな夜遅くにどうしたんだー？」

とさいたまに此処に来た理由を尋ねた。
さいたまは縁日の会場にノイズが出て、冬竜に取り憑いたこと、そして取り憑かれた冬竜が暴れたことを、ここの長である幽玄に報告しに来たのだと説明した。

双竜は説明を聞き終わると、「え〜っ！！」と声を上げ、元々大きい目を更に丸く大きくして驚いた。

双竜「縁日にノイズが出たのか！？そんなの初めてだぞ！」
さいたま「えっ？知らなかったの！？」

双竜はうん、と頷いた。

双竜「己れ、今日は縁日に行かなかったんだぞ！普段は紫煌と一緒に行ってるんだけど……幽玄様の妹を探しに行ってて、今帰って来たところだったんだぞ！」
さいたま「そーだったんだねぇ」

その時、カラン……とさいたまの後ろで下駄を鳴らす音が聞こえた。
双竜は「あっ！」と声を上げ、下駄の鳴った方に大きく手を振った。

双竜「紫煌！おかえり！見つかったか？」

さいたまがくるっと後ろを振り返ると、そこには中性的な顔立ちをした美しい青年が立っていた。
紫煌と呼ばれたその青年は、とても残念そうに首を横に振った。

紫煌「いいえ……申し訳ございません」
双竜「……そうか…………」

双竜は尻尾をだらんと地面につけ、しょんぼりと項垂れた。
紫煌はしばらく残念そうにしていたが、放置されて困っているさいたまに気づき、はっとした。

紫煌と目が合ったさいたまは、気まずそうにペコッと頭を下げた。