なむおりふれんず！ (ページ12)

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お好み焼き屋「ゴーゴー亭」ページ12

さいたま「うわぁ〜っ！美味しそう〜！」
きさま「確かに、屋台で売ってるモンにしては美味そうだな」
さいたま「またお腹空いてきちゃたなぁ」
きさま「マジかよ……」

さいたまは鉄板の上でじゅうじゅうと音を立てて焼けている目の前のお好み焼きを見て、まるで幼子に還ったように目を輝かせた。
きさまはさっきあれほどたくさん食べていたにもかかわらず、お好み焼きが焼けるその様子を見ただけで「またお腹が空いてきた」などと言う姉の底知れない食欲に、もはや呆れすらも通り越して引いていた。

すると、漸く2人が目の前に来ていたことに気がついたお好み焼きの調理人が、「いらっしゃい。お客さん」と話しかけてきた。

その調理人は和食の一つであるお好み焼きを作っているとは思えないようなコックユニフォームを着ていた。そして金色のボブヘアーに、髪の色と同じくらい淡い金の瞳でこちらを見、微笑んだ。

さいたまは煙で見えにくい調理人の顔を見つめ、あっ、と声を上げた。

さいたま「もしかしてゴーゴーちゃん！？」
ゴーゴー「おー！さいたまときさまじゃないか！煙でよく見えなかったよ！久しぶりだねえ」
きさま「なんだ、ここの店主はお前だったのか」
ゴーゴー「そーそー！毎月やってるからね！今月もなんか出そうかと思ってね」

今までお好み焼きの調理人と称していた彼女の名はゴーゴーキッチン。彼女は“ゴーゴー亭”という食堂を経営しており、そこはあらゆる料理を提供している人気の店だった。
さいたまときさまはこの店によく通っていたため、店主であり、シェフである彼女といつの間にか親しくなっていた。

さいたま「やっぱゴーゴーちゃんのお料理は何でも美味しそうだなぁ」
ゴーゴー「なんだい、嬉しいこと言ってくれるねえ」
さいたま「うーん……やっぱ食べたい！ゴーゴーちゃん！1個頂戴！」
ゴーゴー「はいよ！毎度あり！」

ゴーゴーはパックに詰めたお好み焼きの中から1つを選び、さいたまに手渡した。
さいたまが手にお好み焼きを持っているのを見たきさまは小声で「ホントに食うんだな……」と呟いた。
さいたまはきさまの視線がお好み焼きの方に向けられていたのに気がついた。

さいたま「あれ？きたちゃんも欲しかった？」
きさま「いや、もう俺お腹いっぱいだよ」
さいたま「えーっ、早くない？」
きさま「……」

きさまがさいたまに何か言ってやろうとした、その瞬間。

――グシャッ

一同「えっ…？」

遠くで、何かが潰れる音がした。