なむおりふれんず！ (ページ11)

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縁日と姉弟ページ11

縁日。
幽玄ノ乱と呼ばれるかの女帝が治める乱舞町では、余程のことがなければ月に1度、その祭りは行われていた。
食べ物を売る屋台、撃てば景品の手に入る射的、泳ぐ金魚を狙って掬う金魚すくい……等々様々な出し物を目的として、彼らは親しい者と共に一時の安息を得る。
また、大抵の者はこの縁日に集まるため、普段の生活では交わることのない者との関わりを楽しみにしている者もいた。

縁日を訪れたさいたまはというと、りんご飴、焼きそば、次はたこ焼き……と、あいも変わらず食べ物の屋台ばかり巡っていた。
そしていつものように、一緒に来ることの多いきさまを呆れさせるのであった。

きさま「姉貴……ホントよく食うよな」
さいたま「へんへんほんなほとなひお(全然そんなことないよ)」
きさま「食い終わってから喋ってくれ……」
さいたま「……ごくん…………でもきたちゃんも私と同じくらい食べてるじゃん」
きさま「そりゃあまぁ、俺は男だしな」

それを聞いたさいたまは多少ムッとした表情をした。

さいたま「いっぱい食べるのに男の子も女の子も関係ないよ！どっかでやってる大食い勝負だって男の子と女の子が一緒に戦ってるじゃん！」
きさま「言われてみりゃあそうだな、
わりぃわりぃ。」

別に怒った訳じゃないけど……とさいたまがつぶやくのを尻目にきさまは最後の1個のたこ焼きを平らげた。

きさま「ごちそうさま。んで？次はどこに行きたいんだ？」
さいたま「きたちゃんは？」

突然聞き返され、きさまはきょとんとした表情でさいたまに更に聞き返した。

きさま「俺？何で？」
さいたま「だって前に来た時とかも、それにさっきまでも私の行きたい所ばっかだったから……」

きさまは顎に手を当てて悩んだ。
別に彼には行きたい店があるだとか、そういった目的があって縁日に来ているわけではなかった。ただ毎回、姉に誘われ、姉と出かけるのがそれなりに好きだったからこうして出てきているだけだった。

きさま「……うーん、これといって別にねえな。姉貴の好きな所でいいぜ」
さいたま「いいの？」
きさま「おう」

じゃあ……とさいたまは周りをきょろきょろと見渡していい出し物はないかと探した。

さいたま「うーん……あっ！あそこ！あそこがいい！！」
きさま「お好み焼き……ってまた食べ物屋かよ！？」
さいたま「エヘヘ……行こ？」
きさま「……しゃあねえな……」

どんだけ食い意地張ってんだ……と更に姉に呆れつつ、彼は彼女の後へと続いた。