私の彼氏。《佐藤大樹》

4 ページ5

-大樹side

…A、大丈夫かな。

高校のころ、Aはいじめられていた。

原因は、俺と仲良くしていた上に、俺と付き合い始めたから。

それを知ったとき、人の勝手だろ、と思った。

…でも、Aは。

優しすぎる彼女は、それを重く受け止めすぎて心を病んだ。

高校を卒業してから5年。

Aは今でも通院して、薬を服用している。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



Aが風呂から上がってきた。



大樹「おいで。」



手を広げると、素直に腕に収まるA。

俺はタオルでAの髪を拭き始めた。



A「…大樹。」

大樹「うん？」

A「…私、今副社長の秘書してるじゃない？」

大樹「そうだね。」

A「…今日ね、同じ秘書課の先輩に言われたの。
“入社して2年目で副社長秘書になるなんておかしい”って。
“副社長と何回寝たら秘書になれたの、羨ましいわね”って。
…私、そんなことしてないよ…？」



俺は彼女の髪を拭く手を止めた。

無言でAを抱き締める。

その細い肩が震えた。



A「何もしてない、実力でなれたのに…。
だって、彼氏いるんだよ？
彼氏が、大樹がいるのにそんなことするわけない…っ。」



Aは俺のこと…彼氏がいるということを会社で言っていない。



大樹「…ごめん。」



こんなとき、俺は謝ることしかできない。

俺がEXILEじゃなかったら、Aも堂々と会社で言えるのに。

なにもできない自分に苛立つ。



大樹「ごめんな、いつも我慢させて。
分かってるから。
俺は、Aが努力してきたのを誰よりも分かってるから。」



後ろからAを強く抱き締めて囁く。



大樹「俺が踊れるのはAがいるからだよ。
Aがいて、いつも俺のこと支えてくれるから頑張れるんだ。」



Aが俺の胸に顔をうずめた。



A「…っく、ふぇ…っ。」

大樹「そんな人たちのこと気にしちゃだめだよ。」

A「ごめん、ごめんね…。」

大樹「謝らなくていいよ。それより、ありがとうって言ってもらえる方が嬉しい。」

A「ありがと…。」

大樹「どういたしまして。」



彼女にキスをする。



A「…もっと。」

大樹「ん？」

A「もっと、キスして。」



Aの後頭部に手をやってキスをする。

最初は軽く、だんだん深く。

Aの口から吐息が漏れた。



大樹「…ごめん、いい？」

A「いいよ。」



俺は頷いた彼女を抱き上げてベッドまで運んだ。

5→←3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す