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海真side


「…ッケホ、」


寝るつもりなんてなかったのに、蓮に撫でられているうちにいつの間にか意識を飛ばしていたらしい。

息苦しさのせいで意識が引き上げられた俺は、喉の違和感に思わず咳をこぼした。


「海真起きた?大丈夫か?」

「っん、ケホッコホッコホ、だい、ケホ、じょうぶ」


ヒューヒューと微かにだけど、あの隙間風のような嫌な音が聞こえてくる。

蓮は俺が眠ってからもその場を動いていなかったみたいで、もしかしたらそんなに長い時間じゃなかったのかもしれない。


「大丈夫じゃなさそうだな。喘鳴聞こえてるよ」


優しく俺の背中をさすりながら、蓮が近くにあった吸入器を手に取った。


「…っ、ケホ、」


自分の咳が、酷く頭に響く。

咳をするたびに体が揺れるのがしんどくて、涙が滲んだ。


「しんどいな…。…吸入、する?」

「す、る…っコホッケホッ」


早く楽になりたくて、迷わず頷く。

蓮は慣れた手付きで吸入させてくれて──…本当なら蓮みたいに健康な人は、吸入器の使い方なんか知らなかったはずなのに。


薬のおかげで呼吸は楽になったけれど、熱があるせいか思考は暗い方に傾いてくる。


「落ち着いた?」


トントンと背中を撫でてくれる蓮の手が優しくって、咳は落ち着いても涙が落ち着かない。

しんどいふりして彼の肩に顔を埋めて、何となく涙は見られないようにした。もう遅いかもしれないけど。


「…ん。いつも、ごめん…」


そっと謝罪の言葉を呟くと、蓮は小さく笑って頭を撫でてきた。

蓮ってすぐ撫でてくるよな。癖とかなのか?


「別に謝んなきゃいけないことしてないじゃん」


まるで子どもをあやすかのように撫でてくる蓮に、思わず擦り寄ってしまう。……何となく寒い。


「横なれそう?座ってるのしんどいだろ?」


彼に体重を預けたせいか、蓮が心配そうにそう聞いてきた。


確かに座ってるのは少ししんどいけれど、でもそれ以上に。


「………このまま、がいい」


何となく、蓮から離れてしまうのが惜しくって。

くっついてた方があったかいし、安心する。


蓮はちょっと驚いたように目を瞬いて、それから柔らかく微笑んでくれた。


「了解」



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暁☆(プロフ) - ayahanaさん» こちらこそいつも優しいコメントありがとうございます! おかげでまだまだ続けられそうです (*´ `*) ぜひ今後ともよろしくお願い致します〜! (2021年2月13日 9時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます!まだ続けて下さるどころか頻度上がるかもということで凄く嬉しいです、次のお話も楽しみにしています! (2021年2月13日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ayahanaさん» お待たせして申し訳ありません!こちらこそ読んでくださりありがとうございます〜<(_ _)> (2020年8月20日 7時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます! (2020年8月20日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます!頑張りますね! (2020年6月23日 20時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁☆ | 作成日時:2018年6月15日 20時

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