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蓮side
ぐったりと床に倒れる陵の姿に、すっと背筋が冷える。
真っ白な、血の気のない顔。
吐瀉物でぐちゃぐちゃに汚れた、白いカッターシャツと床。
息をしてるかを真っ先に心配してしまったおれたちは、決して悪くない。それくらい、陵の顔は真っ白だったのだ。
「おれ、石谷先生、呼んでくる」
湊の震える声で、ようやく頭が動き出す。
くるりと踵を返して、今しがた走って来たばかりの道を引き返す彼を見送り、おれはそろそろと陵の体に手を伸ばした。
「りょう、」
声も手も、情けないくらいに震える。
近づけば、浅くて速い呼吸が聞こえて、そのことにとりあえずほっとした。
「陵、陵！」
震えの収まらない手で陵の体に触れれば、熱すぎる体温が伝わってくる。
…いつから、具合悪かったんだろう。もっと早く、気付けていれば。
「っ、りょう、」
どくどくと、嫌な動悸が収まらない。
おれが、資料なんか頼まなければ。おれが、陵に無理させたから。
──後悔の念にかられていた、そのとき。
「…れん、」
聞き慣れた、低めの、ちょっと掠れた声に、反射的に顔を上げる。
陵の目が開いていて、おれは思わず彼の腕を掴んだ。
「陵！大丈夫、じゃないよな、頭とか打ってない！？」
「うってない…つか声でかい、頭ひびく」
熱は高そうだし、いつもより呂律も回ってない。
それでも、一応普段と同じように会話出来ている陵に安心して、おれはほっと息を吐いた。…ほんとに、怖かった。
「…なんて顔してんの」
緩慢な動作で起き上がった陵が、呆れたように笑う。
彼はゆっくりおれの方へと手を伸ばし、そのままおれの右頬をぐい、と引っ張った。
病人の、熱い、ほぼ力の入っていない手。案の定、あんまり痛くない。
「こわがらせて、悪かった。ちょっと、狭いとこ、むりだっただけ、だから」
荒い息の間に、少しずつ、ゆっくり言葉を紡ぐ陵。
おれはぶんぶんと首を振った。なぜか熱いものが目から溢れる。
「ごめん陵。おれが無理させたから…」
何で泣いてんの、と陵が呆れ顔でおれを見た。そんなのおれだってわからない。
「れんのせいじゃないだろ…。てか、体しんどいから、ちょっともたれさせて」
「っ、うん」
ずしりと陵の熱い体が、おれの方へ寄りかかってくる。
しんどくても何も言わないのがいつもの陵だ。たぶん、相当辛いはず。
熱すぎる背中をそっと撫でれば、なぜか陵もおれの頭を雑に撫で返してきた。
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暁☆(プロフ) - ayahanaさん» こちらこそいつも優しいコメントありがとうございます！ おかげでまだまだ続けられそうです (*´ `*) ぜひ今後ともよろしくお願い致します〜！ (2021年2月13日 9時) (
レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます！まだ続けて下さるどころか頻度上がるかもということで凄く嬉しいです、次のお話も楽しみにしています！ (2021年2月13日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - ayahanaさん» お待たせして申し訳ありません！こちらこそ読んでくださりありがとうございます〜<(_ _)> (2020年8月20日 7時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
ayahana(プロフ) - 更新ありがとうございます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a867efffe4 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！頑張りますね！ (2020年6月23日 20時) (レス) id: f1423fd483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁☆ | 作成日時：2018年6月15日 20時
