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陵side
出来上がったお粥を持って、愁の部屋に入る。
なるべく急いだつもりだったんだけど、ちょっと遅かったみたいだ。
「りょお…っ」
愁がぽろぽろと涙を流しながら、俺の名前を呼んでくる。
俺は彼の寝ているベッドに腰かけた。
「どこいってたの…？」
「お粥作ってた。食べれそう？」
愁の柔らかい猫っ毛を撫でながら聞くと、彼は小さく頷く。
「たべさせて…？」
それから、潤んだ瞳で上目遣いをしてくるという、普段の愁からは考えられないようなことをしてきた。
「……ん」
俺も俺で、普段なら絶対に断るはずなのに、頷いてしまう。
結局愁は、お粥を半分ほど食べ、限界になったようだ。
もういい、と舌っ足らずな口調で言う愁に、今度は体温計を渡す。
ふ、と短く息を吐いた愁は、体温計を脇に挟むと、そのまま俺にもたれてきた。
「おい、大丈夫か？」
んー、と返ってきた返事は、眠そうにとろんとしている。
せめて体温計鳴るまでは起きてろよ、と願っていると、タイミング良く電子音が鳴り響いた。
動かない愁の代わりに体温計を抜き取ると、画面に浮かび上がるのは、39.4℃という数字。
「寝ろ」
問答無用で彼の体をベッドに倒す。
愁の火照った頬を見て、体温計と一緒に持ってきた冷却シートの存在を思い出した。
彼の熱い額にそれを貼ると、愁の表情が少しだけ緩んだ、気がする。
ふわりと、なるべく優しく愁の頭を撫でていると、彼の潤んだ熱っぽい瞳が、俺を見てきた。
「…………きょうだけで、いいから」
とろけてしまいそうなほどに甘い声が、鼓膜を揺らす。
「ずっと、そばにいて？」
もう、どこにもいかないで。
そう呟いた愁が、ゆっくり目を閉じた。
俺は小さく、笑みをこぼす。
「行かないよ」
今日だけじゃない。ずっと、そばにいるから。
らしくないな、と思ったときにはもう、愁の穏やかな寝息が聞こえていた。
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匿名リリス - 暁✩さんへしつもんとリクエストです!! お腹弱めの子はいますか？いたら，その子が胃腸炎にかかって胃腸炎で脱水になるまでこじらせてしまう系は出来るでしょうか？すいません，胃腸炎系大好物で… (8月24日 21時) (
レス) id: e14be183ea (このIDを非表示/違反報告)
暁☆ - 晴さん» 作者も共倒れ系のお話大好物なんです！！なので二人が体調崩すのは書いていて楽しかったです！ 今あるリクエストが消化出来たら、また書いてみたいですね！ コメントありがとうございます！m(_ _)m (2019年8月9日 10時) (レス) id: b3d28df6ed (このIDを非表示/違反報告)
晴 - 海真くんが放置されちゃう感じ好きすぎます！その後、ちゃんと海真くんのそばにいてあげるのも最高です！2人体調崩してどっちかが、ちょっと我慢しなきゃいけない感じほんとに好きです。また、こんな感じのお話書いて欲しいな、、。海真くんが好きです。 (2019年7月16日 0時) (レス) id: 32acc50bba (このIDを非表示/違反報告)
暁☆ - マコトさん» 温かい応援ありがとうございます！更新遅くなっていてすみません…！時間が空いたときにちょっとずつ更新していけるようにしますので、これからもお願いします！(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2018年6月16日 19時) (レス) id: 79c42c199e (このIDを非表示/違反報告)
マコト - この作品は個人的に好きだったのですが、最近更新停止気味になってしまい少し残念に思っていましたが、また再更新していただいてとても嬉しかったです。これからも応援しています。 (2018年6月16日 18時) (レス) id: fb4892608a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁☆ | 作成日時：2018年1月12日 18時
