男子高校生の体調不良集 part2

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海真side


部屋に戻ってベッドに入ったらすぐに寝たんだけど、真夜中、発作で目が覚めた。

共同リビングにいたときのより酷くて、苦しくて。

吸入器取ろうとしたら手が震えて取り落としてめっちゃ焦って、焦ったら発作酷くなるしで。


こわ、かった。

不安で、すごく、怖かった。


「海真、大丈夫？」


入って来た湊に吸入を手伝ってもらい、何とか発作は落ち着いた。


「…ん、も、大丈夫…」


今度は頭痛と倦怠感に襲われてきついけど。


「海真、熱ある？体熱い…」


湊にもたれかかっていたら、気付かれた。

気付かれたくなかったのに、気付かれて安心したのも事実。


「熱計ろっか」


そう言って湊が、体温計を渡して来た。

俺は小さく頷き、それを受け取る。

もう、隠そうとも思わなかった。


「……そういえば、陵は…？」


ふと、思い出す。

共同リビングで、怠そうにしていた陵のことを。

湊が、驚いたように目を見開いた。


「海真、陵のこと気付いてたの？」


「何か、怠そうだなって。やっぱり体調悪かったんだ…」


俺の言葉に、湊がふわりと笑う。


「そんな心配そうな顔しなくても。海真って熱出ると表情豊かになるね」


え。俺、そんな顔してたか？


そのとき、体温計が電子音をたてた。

取り出すと、38.5の数字。


「うわあ、寝よっか」


湊に、ベッドに寝かせられる。

そのあと湊がベッドから離れようとしたから、俺は思わず彼の服の裾をつかんでいた。


「…ぁ…えと、」


そばにいて、なんて、言えない。

湊がくすりと笑う。


「冷えピタとかお水持ってくるだけだから。すぐ戻ってくるね」


「ゆっくりで良い…！」


恥ずかしくなって、あわてて手を離した。

湊は相変わらず笑いながら、手を振って部屋を出て行く。


一人なんていつものことなのに、どうしてか寂しくて。

ゆっくりで良い、なんて言ったことを後悔。


布団を深く被り、寂しさを紛らわしていると、さっき出て行ったばかりの湊が戻って来た。


「…え、は…？早…」


「海真一人にしとくの不安だからね。さっき発作出ちゃったし」


寂しい、なんて思ったのがバカみたいだ。


「……ん、」


くい、と湊の服の裾を引く。

湊がいることを、確かめるように。


「ほらもう寝な？」


おやすみ、とささやかれた優しい声とぬくもりに安心して。

俺はそっと、目を閉じたー…。


　

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