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湊side
くらくらふわふわする頭が、倒れるのももう時間の問題だと言ってくるよう。
学校集会が始まって5分程度。
さっき長い表彰式が終わったところで、今からさらに長い学校長の話。
「…っ」
ぐるぐると視界が回るのが、気持ち悪い。
気を抜くと膝から崩れ落ちそうで、それが怖くて。
ふう、と小さく息を吐くと、おれの前に立っていた蓮(おれと蓮はほとんど身長が変わらない。ちなみにひろは、もう少し可愛い背の高さかな)が、振り向いてきた。
それから、彼の目がじわじわと見開かれる。
「ちょ、大丈夫か?しゃがんだ方が良いんじゃ」
大丈夫、と笑える余裕もなかった。
蓮が気付いてくれたということに、酷く安心して。
がくん、と膝が崩れる。
蓮が慌てて、おれの腕を掴んで引き寄せた。
「おい湊!」
しーん、と静まり返った体育館の中、蓮のよく通る声が、響く。
蓮が怒られちゃうかな…。
ごめんね、と心の中で謝っているうちにも、視界から色が消えていって、怖い。
周りにいた生徒が、何事かと見てくるのがわかる。
先生も数人駆け寄って来た。
どうしよう、迷惑かけちゃった…。
こんな大事にするつもり、なかったのに。
「湊君、大丈夫?」
駆け寄って来た先生のうちの一人、石谷先生に瞼をめくられる。
「うわ、真っ白。貧血だね」
「ひん、けつ…」
貧血、と理解出来たのは、先生の口から出た言葉の数秒後。
貧血って、女の子がなるものだと思ってた。
保健室行こうか、と言われたものの、めまいが怖くて蓮から離れられない。
だんだんと視界も白く染まっていって、こんなの初めてで、怖くて。
ぎゅう、と蓮の制服を握るおれに、石谷先生は苦笑した。
「蓮君も一緒に来てくれる?」
「あ…はい!」
一時話を中断していた校長先生に、石谷先生がすみません!と頭を下げる。
蓮も小さくお辞儀をしてから、おれを背中に乗せた。
本当に謝らなきゃいけないのはおれだけど、急速に遠のいていく意識の中、声を発することは出来ずに。
このまま意識を飛ばすのが怖くて、蓮の制服を握る手に、力を込める。
「…大丈夫だよ」
自分の意に反して遠のいていく意識の中、最後に聞こえた彼の優しい声に、すごく安心した。
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匿名リリス - 暁✩さんへしつもんとリクエストです!! お腹弱めの子はいますか?いたら,その子が胃腸炎にかかって胃腸炎で脱水になるまでこじらせてしまう系は出来るでしょうか?すいません,胃腸炎系大好物で… (8月24日 21時) (レス) id: e14be183ea (このIDを非表示/違反報告)
暁☆ - 晴さん» 作者も共倒れ系のお話大好物なんです!!なので二人が体調崩すのは書いていて楽しかったです! 今あるリクエストが消化出来たら、また書いてみたいですね! コメントありがとうございます!m(_ _)m (2019年8月9日 10時) (レス) id: b3d28df6ed (このIDを非表示/違反報告)
晴 - 海真くんが放置されちゃう感じ好きすぎます!その後、ちゃんと海真くんのそばにいてあげるのも最高です!2人体調崩してどっちかが、ちょっと我慢しなきゃいけない感じほんとに好きです。また、こんな感じのお話書いて欲しいな、、。海真くんが好きです。 (2019年7月16日 0時) (レス) id: 32acc50bba (このIDを非表示/違反報告)
暁☆ - マコトさん» 温かい応援ありがとうございます!更新遅くなっていてすみません…!時間が空いたときにちょっとずつ更新していけるようにしますので、これからもお願いします!(*- -)(*_ _)ペコリ (2018年6月16日 19時) (レス) id: 79c42c199e (このIDを非表示/違反報告)
マコト - この作品は個人的に好きだったのですが、最近更新停止気味になってしまい少し残念に思っていましたが、また再更新していただいてとても嬉しかったです。これからも応援しています。 (2018年6月16日 18時) (レス) id: fb4892608a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁☆ | 作成日時:2018年1月12日 18時