男子高校生の体調不良集 part2

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恵side


体調が悪いときの愁は、ヤバいと思う。

普段の顔もどちらかというと女の子みたいなのに、あの顔で甘えられたらもうダメだろ！


今もオレの腕の中でふうふうと熱い息を溢す愁は、不謹慎だけど可愛いと思ってしまった。


「……あ！学校！」


は、として声を上げる。

先に歩いて愁の部屋の扉を開けてくれた蓮が、忘れてたのか？と呆れたように笑った。


「だって愁のことで頭いっぱいだったから！」


後ろで海真が息をつく。


「そうだな。恵の頭じゃ一個考えるだけでいっぱいいっぱいだよな」


「ちょ、酷くね！？」


「けい…うるさい…」


「あ、ごめん」


オレの声が頭に響いたのか、愁がうっすら目を開けて、服を握ってくる。


「とりあえず学校どうすんの？」


今度は声を落として聞くと、蓮が考えるように上を向いた。

愁の部屋に入って、ベッドに彼を下ろす。


「誰か一人だけ残る？」


海真がそう言って首を傾げた。

オレは元気良く手を上げる。


「オレが愁の看病する！」


「いや恵はサボりたいだけだろ？」


苦笑した蓮に図星をつかれた。

う、と詰まると、海真にまで笑われる。


「俺が残っても良い？恵と違って授業も一回くらい休んだって大丈夫だし」


「なんか今日の海真辛辣…」


「そうか？」


うっわ、無意識に酷かったんだ！？


酷い、と嘆くオレをさりげなく無視した蓮が、海真によろしくな、と笑った。

オレもよろしく、と言って部屋を出ようとすると。


くい、と制服の裾を引かれた。


え、と振り向くと、潤んだ瞳の愁が、オレを見つめている。


「…いっちゃう、の…？」


何だこの可愛い愁！

いっつもこんなんなら良いのに…！


オレはベッドで横になっている愁の髪を、そっと撫でた。


「オレは行くけど海真が残るから大丈夫。ちゃんと良い子にしてろよ？」


小さい子どもをあやすように言えば、愁はこく、とうなずく。

それから素直に手を離した。


…うん、ほんとに普段からこんな風だったら良いのに。


「あ。恵、時間ヤバい！もう行こ」


蓮が、腕時計を見て声を上げる。

オレは慌ててうなずいた。


「じゃ、行ってきます！」


部屋を出る間際、振り返って声をかける。


「…はやく、かえってきてね」


予想外の可愛いお願いに、オレと蓮は笑顔を返した。



　

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