やっと知れた ページ26
「ふー…」
ごろん、とベッドに崩れ落ちてきた衝撃で、私はベッドの上で軽く弾んだ。
「本っ当に疲れた」
「本っ当にお疲れ様です」
いや、どちらかというとこの疲労はデブリーフィングの所為が大きい。
そう呟いたゾムさんにきょとんとしていると、「わからないか」と頭を撫でられた。
「眠い？」
「少し。いっぱい寝ていたはずなのに」
「でもそのあとかなり動いたし、緊張もしたからな。好きに寝ててええよ、寝過ぎてたら起こしたる」
まあ俺も寝過ごしてるかもしれへんけどな。ひひ、と笑うゾムさんの背後で、カーテンから漏れてくる光は明るかった。時間の感覚がよくわからなくなっているけれど、今は日曜の朝のはずだ。
灰色のベッドを転がってゾムさんのスペースを作ると、ゾムさんもそこに転がり直して枕をぼふぼふと叩く。シャワーを浴びて温まった後だからか、赤い頬が少し幼げで可愛らしい。でも、目の下にはいつものあれが少しずつ姿を現していて。
「あんなにハードな仕事、いつもやってたら、それは隈できますよね…」
「あ？あぁ。昼間の仕事的にも、任務遂行のタイミングや内容的にも、どうしても深夜じゃないとできへんことが多いからな」
「持病もそのせいで？」
「ああ。あれ、持病ちゃうんよ」
枕に頭を置いたゾムさんは、腕を伸ばしてちょいちょいと指を動かす。遠慮気味にもぞもぞと近づくと、そのまま引き寄せられて腕の中に収められた。
「あれは毒針をかすめてな」
「ど毒！？」
「よくあることなんや」
「よくあって堪りますか、そんなの…」
「ふふ。Aは優しいなあ」
ぽんぽん、と上機嫌に頭を撫でられる。
「ええ匂い」
「同じシャンプーですよ？」
「せやなあ。ん、でもこれからは好きなもん置いてってええからな。あ、出勤だってここからしたってもええんやで？」
「流石に、編集長と同じ部屋から出勤は…！」
もし見られたらかなりまずいことになりますよ、そう慌てると、「それなんやけど」とゾムさんは目を伏せた。
「とりあえず麻薬取引の件は今回は片がついたから、俺もそろそろあの職場、退職すねん。まあ怪しまれないようにキリのいい7、8月くらいには、多分な」
「えっ…」
「寂しい？」
「『編集長』のゾムさんが終わっちゃうのかと思うと」
「自分結構それ好きやったんやな！？」
好きなときにやったるから〜と笑ったゾムさんは、やっぱり顔が赤い。手とかは冷えつつあるのに。
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ぶり(プロフ) - すごく良かったです(;_;)続編出るかもとあとがきで仰られていて、楽しみにしておりますm(*_ _)m (8月1日 6時) (
レス) @page32 id: f4bc3258e7 (このIDを非表示/違反報告)
ハイ(プロフ) - 四ツ谷抹茶さん» コメントありがとうございます。まさに毎日の楽しみとしていただけるような作品を目指していたのでとっても嬉しいです！更新、頑張ります。 (2019年3月28日 23時) (レス) id: 5d539585d0 (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷抹茶(プロフ) - コメント失礼します、更新お疲れ様です…！この小説の更新が本当に毎日の楽しみとなってしまいました。これからも体に負担がかからない程度に更新、頑張ってください！！応援してます！ (2019年3月28日 20時) (レス) id: 2106793cf6 (このIDを非表示/違反報告)
るーさん(プロフ) - ハイさん» ハイさんは神ですか?神作品過ぎてもう…好きです (2019年3月27日 19時) (レス) id: a79aab8021 (このIDを非表示/違反報告)
ハイ(プロフ) - るーさんさん» コメントありがとうございます。引き続きお楽しみ頂けるよう頑張ります！ (2019年3月27日 19時) (レス) id: 5d539585d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハイ | 作成日時：2019年3月25日 3時
