ごめんね、お兄ちゃん【天馬咲希】

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だから、今日のデートは絶対に楽しくなる。

あのひとにも、楽しんでもらえたらいいな。待ち合わせ場所に早く着きすぎて、アタシはぼんやりと空を見上げていた。


今日もいい天気だ。絶好のお出掛け日和。
アタシはこの後に控えている楽しい時間に思いを馳せて、小さく微笑んだ。


「ごめんね、待たせちゃったかな？」

「いえ！ 全然待ってないですよ〜！ ……あれ？」


約束の時間の5分前に現れた彼女に駆け寄ろうとしたところで、違和感を覚える。


「どうかした？」

「あ、いや……」


アタシは慌てて首を横に振った。


「あの……なんか雰囲気変わったなあって思って」

「そう？ ……変じゃない？」


彼女がくるんとその場で一回転してみせる。
ふわりと揺れたスカートの裾から覗いた脚を思わず凝視してしまい、アタシはハッとして目をそらした。


「あ！ 前髪ちょっと切ったからかも」

「え？ 言われてみれば……！ とっても似合ってますよ！ かわいいです！」


アタシの言葉に、彼女は照れたように笑った。


「ありがとう……」


はにかみながらも嬉しそうな表情を見て、胸の奥がきゅっとなる。
お兄ちゃんは、このひとのこんなところを見て好きになったのかな。

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