22 ページ22
「わた、し……――不安なの」
「不安？」
聞き返すと、こくりと首が控えめに縦に振られる。
「司くんは優しくて、私のこと本当に大切にしてくれて……近くにいてもあんまり積極的に触れてくれないから」
伏し目がちに言葉を紡ぐ彼女に、アタシは黙って続きを促した。
「私のこと、好きでいてくれてるのかなって、時々思っちゃうことがあって……。私ばっかりが司くんのことを想っているんじゃないかって」
だからね、と続けてこちらを見上げた彼女と目が合う。その瞳は潤んで揺れていて、アタシは思わず息を呑む。
「……咲希ちゃんにギュってされて、好きって言われて――ドキドキしちゃったの……」
頬を染めて恥じらう姿に心臓が高鳴ると同時に、どこかホッとした。
良かった。アタシと同じだ。このドキドキは、アタシだけが特別なわけじゃない。
「ねえ、咲希ちゃん。私、どうしたらいいのかな？」
アタシの服の袖をきゅっと掴みながら、上目遣いで見上げてくる彼女。
庇護欲をそそるその姿に、ぞくりとした。
アタシの中の悪魔が囁く。
「そんなの簡単ですよ」
「えっ」
「アタシに全部任せてください」
そう言って笑えば、彼女は少しだけ怯えたような表情をした。
「咲希ちゃん……？ あの、何する気なの……？」
戸惑いながらもそう尋ねてきた彼女に笑顔を向ける。
「大丈夫です。アタシに任せてくれたら、きっと悩みなんて吹っ飛んじゃいます」
「……うん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みたらし - もう本当に最高でした！百合は正直あまり興味はなかったのですが、これからどろどろ百合に八マってそうです！ (6月4日 18時) (
レス) @page26 id: 2f740785d6 (このIDを非表示/違反報告)
あきいろ(プロフ) - 兎さん» 自分も百合好きゆえ魂込めて書いたのでそう言っていただけてとってもとってもうれしいです、ありがとうございます〜！！ (2022年11月8日 18時) (レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
兎(プロフ) - 百合 … ｯｯｯ ……… 百合大好きなのでとても好みです … 背徳感とか惹かれちゃう所とか描写が細かくて好きです …… 😭 (2022年11月8日 15時) (レス) @page26 id: 39b2cd6ae8 (このIDを非表示/違反報告)
あきいろ(プロフ) - 換気扇はわたしの推しです(？)さん» もったいないお言葉本当にありがとうございます！！ 励みになります！ (2022年9月27日 17時) (レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
換気扇はわたしの推しです(？) - 凄すぎる…！！てか好きですほんとに!!!作者様神過ぎ… (2022年9月27日 7時) (レス) @page26 id: 194de91936 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あきいろ | 作成日時：2022年7月15日 21時
