ラギー リク 作成 ページ1
「これで、私の事抱いて欲しいんです。」
「……は？」
ぐしゃぐしゃに握り締めた全財産。2万マドルをラギー先輩の胸元に突き出した。無茶苦茶な事を言っているのは分かってる。端たないと軽蔑されても可笑しくない事だって。ラギー先輩は訳も分からないといった表情を浮かべ、見るからに困っていた。「冗談ッスよね…？」とか言いながら苦笑いを零す。
「…っ、冗談なんかじゃありません！！」
この気持ちを"冗談だ"なんて表して溜まるものか。
この胸の痛さを、苦しさを。この恋を。
"最後の最後"に好きな人に抱かれたいという夢を。
「…元の世界に帰る方法が見付かったんです」
「……ッ、それ…は…」
ラギー先輩のその特徴的な垂れ目に動揺の色が見えた。大きく見開いた儘、はくと息を呑み込む。私もじわりと目が熱くなった。初恋がこんな事で終わるだなんて、想像もしてなかった。初恋は実らないとは良く言うけれど本当にその通りだ。ぐずりと鼻を啜って勢いのまま思いの丈を叫ぶ。声は震えて上手く言葉を紡げなかった。
「だがら…っ、最後に好きな人に…ラギー先輩に抱いてほしぐて…！最低なヤツでも何とでも思って構わないから…！！せめてこの恋を消えない思い出として胸に刻んでくれませんか…っ！？」
一瞬だけでも貴方の時間が欲しかった。
悩みに悩んで出した結果がコレだなんて心底笑ってしまうけれど、本当の意味で二度と会えない彼を前に恥も外聞も無い。どうか私が帰った後、最低な女だったと思い出してくれよ。ただの後輩のまま帰ってやるもんか。どんな形でもいい私と言う存在を忘れないで欲しかった。
「…監督生くん、いやA」
「……あ、」
随分と長く感じた静寂の後、先輩は口を開いた。
その応えが怖くて思わず俯き目をぎゅっと閉じる。
「……その言葉、本当ッスか？」
ふわりと太陽みたいな優しい匂いに包まれた。
暖かい体温が、私の身体を抱き込める。
「ら、ラギー…せんぱ…っ」
「こんなの、要らないッス…」
「………っ、ふふ……」
私なんかより先輩の方が余っ程酷い声をしてるから我慢出来ずに笑ってしまった。自惚れで無ければ案外、私達は……。俯いていた顔を上げると唇を震えさせ眉を顰めた先輩が視界いっぱいに映り込む。
「……ナニ、笑ってんスカ」
「ごめんなさい、私より泣きそうな顔をしてるから。…その顔、期待してもいいんですか？？」
「期待もなにも、…応えもう出てるでしょ……」
「はい…でも。先輩の口から聞きたいです」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 650人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヨナ - リクエストしてもいいですか？ (2020年7月23日 0時) (
レス) id: 6d2c781566 (このIDを非表示/違反報告)
そらちゃんです！！(プロフ) - リクエストしてますか？リクエストなんですけどリドル先輩の雑論はどうでしょうか？よろしくお願いします！ (2020年7月6日 1時) (レス) id: c4f3cb5b0b (このIDを非表示/違反報告)
ゆ。(プロフ) - みなとさん» 返事遅れてしまい申し訳ありません。ありがとうございます……！此方は基本後まわしの更新になってしまいますがお待ちいただければと思います……！ (2020年6月25日 16時) (レス) id: 87a54633b9 (このIDを非表示/違反報告)
みなと - イデア編どエロでめちゃくちゃよかったです、、これからも更新楽しみにしてます！！ (2020年6月19日 10時) (レス) id: 70a16b712e (このIDを非表示/違反報告)
ゆ。(プロフ) - ka1ta0tu1mu0riさん» ありがとうございます！！中々性癖合う方が居ないので嬉しいです！亀さん更新ですがこれからも見ていって下さいね〜！！ (2020年6月18日 3時) (レス) id: 87a54633b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
