防音を越えてくんな！《kzh》

人間の女の子 ページ7

葛葉 side



　面白い子が隣に引っ越してきた。これから少し楽しくなりそうだ。アパートの隣人とかそういうのって、全然関わりがないと思ってたから。でも一瞬で"葛葉"とバレてしまったから、へたなことは出来ないな。
　車の免許は持ってないから、車で行こうと思ったけど(？)どうやらそれはこの世界では違法らしい。ころしもダメなせいで新鮮な血を得ることも出来ない。ゲームがなきゃ、魔界に戻っていたところだ。仕方なくたくさんの人がいる電車で向かわなくてはいけない。人が多くて嫌になるが、スマホをいじっていれば目的地まではあっという間。
　ダンススタジオに着けば、既に相棒である叶は到着していた。iPadで何かを観ていたが、俺に気づくとふにゃあとしたあの笑顔で笑いかけてきた。いつもだったらいじるところだけど、俺もちょうどお前に話したかったんだ。



叶「葛葉久しぶりだね」

葛「叶〜、ちょっと聞いて〜笑」

叶「…話す前から笑いだしてると、ろくな話じゃないんだけど
　なぁ。どうしたの？」

葛「前さ、俺が新しい家に引っ越したって話したじゃん？」

叶「うん、そうだね」

葛「隣人がめっちゃ面白くて、そこそこの欠陥住宅だった」

叶「おぉ、うん…え？！どう反応したらいいかわからんって、
　それ」

葛「防音だと思ってたら違ったんだけど、隣人と仲良くなっ
　たからもーまんたいみたいな」

叶「え！隣人と喋れたの、葛葉！」

葛「俺が喋れない子みたいな扱いすんのやめろ」

叶「えぇ、だってくーちゃん人見知りじゃん」

葛「そうー、意外と平気だったわ」



　それに関しては本当に自分でもびっくりだった。なんで大丈夫だったんだろう。あいつも人外とか…？でも自分で人間って言ってたしその可能性は0に近い。



葛「初手がおもろかったから、かなぁ」

叶「芸人さんか何かなの？」

葛「いや、違う…と、思う…」



　そういえばあの女人のこと何にも知らない…！名前は挨拶のときに名乗ってたからわかるけど、職業はおろか、年齢だって知らない…俺だけVtuberやってるってバレててフェアじゃなくないか？！



叶「身バレしちゃってるんだったら、向こうのことも知って
　おかないとね〜」

葛「だ、だよな…？！」

叶「自分から聞けんの〜？葛葉〜？」

葛「き、聞けるし！そんなガキじゃねぇよ！」

叶「あっそ？ふふっ。笑」

葛「んだよぉ…」



　叶は、いつも俺の1枚も2枚も上手だ。本当にこいつには毎度毎度敵わない…

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