防音を越えてくんな！《kzh》

So what? ページ31

葛葉 side



葛「え、収録もっすか」

スタッフ「いいかな、まとめちゃって」

葛「あ、はい…」



　どうやら最近の俺は忙しいらしい。1週間先になる予定だった歌収録が今日になった。その理由は大手の宣伝配信が決まったから。仕事がなけりゃずっとゲームしてるだろうし、帰りが遅くなっても犬の散歩は変わらず夜中だし別に心配する人もいな…いたわ。Aには連絡しておかないとな。
　…あいつは俺にとって何なんだ。同居人か？ルームメイト、友達、片割れ、メイド…



葛「いや、はっきり示したところでな」

ス「何か言いました？」

葛「いや、何でもないです」



Kuzuha収録長引くから帰り遅くなる
A帰り何時頃かわかる?
Kuzuhaわからんから終わったらまた連絡する
Aわかった、カレー作って待ってるね〜
Kuzuha😋😋😋



　飯の話されると腹減るからやめてくれ…！今日の晩飯は今朝の希望通りだったらカレーだよな…じゅるり…って、思い浮かべないようにしなくては！余計に腹が減って収録に集中できないだろーが！
　ぶんぶんと頭を振って邪念を飛ばし、集中力を高める。



ス「あ、葛葉さ〜ん。収録の後、いい時間なのでみんなで飯で
　も行きます？」

葛「いえ、今日は結構です。手際よく収録してぱぱっと済ませ
　て、真っ直ぐ帰宅します！」

ス「そうですか。そういえば新しいゲームリリースされました
　もんね」

葛「それもそうなんですけど、美味いカレーが待ってるんで。
　さぁ、ぱぱっと録りましょう！犬の散歩もさせてやらなきゃ
　ですし！」



　そんなに気合の入っている葛葉さん初めて見ましたよ、なんて言われるから少し腹立たしいが、悲しいかな、それは事実。ゲーム以外で楽しみなことがあるから早く帰りたいなんて思うのは、犬を迎えて、Aと暮らし始めたからなんじゃないかな。今までとは全然違う俺がいる感じだ。
　歌もなかなかうまく収録でき、あとはMIXでどこまで変化するのか。まあそれは俺の専門外。さー、帰るぞー！



Kuzuha今から帰る
Aおっけー!ご飯一緒に食べよー!



　てっきり食べ終わっているのかと。待っててくれたのかな、なんて、自惚れて良いだろうか。俺はたぶんもっとずっと前に惚れてたんだろうな、Aに。

　…だからなんだよ。

　どうするんだ、それを今更気づいたところで。俺はさ。

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