防音を越えてくんな！《kzh》

うるせぇ〜笑 ページ19

葛葉 side



　昼間、健康的に起床している俺はボイスのストーリーを考えてみてくれないか、との無茶振りに全力で応えているところだ。でも全然思いつかないし書いては消しての繰り返し。大学が始まったらしいAさんは、昼間家にいない時間が増えた。でもたま〜に聞こえてくる、良いとこの子とは思えない奇声と暴言。今日は何に対してそんな奇声あげてるわけ？笑



　「あひゃひゃひゃひゃ！笑」



　…思わず2度見した。壁の方を2度見した。えぇ？どういう笑い声？しかも発声がもうえぐい。別に音楽学校で声楽習ってるとかじゃないだろうに。TVの音やその類いの音が聞こえてくるわけじゃない。ただ笑ってるだけだったら結構不安なんだけど…Aさんの心の健康的に…



　「ほんと意味わからんって！どういう言い間違いしてんの
　よ？しかもさぁ、授業中にそれはないわ。笑」



　…大学のオンライン授業か！！なるほどすぎる！！うわぁ、時代だねぇ？！でも授業ってそんな面白いか？あ、いや、これは決して煽ってるわけじゃないんだけど、普通に勉強ってだるくね？そうやってだるい中頑張ってる人間はまじで凄いと思うんだけど。いやまじこれ語弊あったな。



　「What does it mean?…I see?…What a heck！笑」



　っぶねー、Fワードじゃないだけましだな。これからは昼間の配信にも気を遣わなくては…
　にしてもめちゃくちゃ楽しそうだな。めっちゃ英語聞こえてくる。すげ〜…



葛「うーん…」



　ボイスのネタ書けって言われても…完全に行き詰まった。



　「See you on Monday!」



　終わった…のか…？と、めちゃくちゃどたどた走ってドアを開けて…我が家にインターホンが。丸聞こえってわかってたのか…？笑



葛「はい？笑」

　「葛葉さ〜ん！さっきまでめちゃくちゃうるさかったです
　よね？！ごめんなさい〜！」

葛「わかってるって、ちゃんと。講義だろ？謝んなくていい
　よ？笑」

　「はい、そうなんですけど…」

葛「お疲れ様、頑張ってたな！英語めっちゃ上手かったわ」

　「え、まじですか？！ありがとうございます〜！…じゃなく
　てっ！」

葛「いいよ、全然。夜中とか、配信中の俺だってうるさいっ
　しょ？正直」

　「いえ…最近は慣れたというか、寝るときのBGMというか、
　ASMRというか…全然平気です！」

葛「ASMRにはならないだろ。笑」

　「なりますよ！ちょうど壁のおかげでボリュームも小さく
　なりますし！」



　壁の役目とは。

いっそぶち破ろう？！→←隣人の闇

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す