お前ら私は女だぞ！？2【wrwrd】【らっだぁ運営】

リクエスト、美希さん ページ39

『待ちなさい！！！止まれ！』


タッタッタッタ！！！新しく買った白いシンプルな
靴が音を立てる。

土砂降りの大雨の中、事件が起きたのだ。
ひったくり。しかもか弱い女性を狙った。

その被害者の中には、お母さんの誕生日を祝おうとしていた女の子も被害があったらしい。

男は、悪びれもせず、それどころか、楽しそうに笑って逃げている。

『ッこの！！止まんないと撃つわよ！！！』

「ははは！！！撃ってみろよ！」

急にぴたりと止まって、こっちを振り向く。
そんな予想外な行動に、銃を構えている手が震える。

その顔は、歪んでいた。
楽しそうに、くつくつと笑い声をあげ、一言で言えば、気色が悪い。

それが、いけなかったんだ。

危険と隣り合わせのこの仕事で。
容赦なんて、しなくても、よかったんだ。

何が起こったのか分からなかった。
その時、ブシュウ。という音だけが頭に入ってきた。


それと、目の前には嬉しそうな、男。




その次に、聞こえてきたのは、


「A、だいじょ………」

と言った、声だった。


__________________

『……！』

目が覚めたら、そこは白い部屋だった。
周りを見てみれば、無数の書類に、片づけのされていない無造作な服など。

そして、ソファーに座って本を読んでいた、
ひとらんがいた。


『らんらん……？』

か細い声しか出なかった。
だけど耳のいい彼は気づいたのだろう。

こちらを見るなり、眉を下げ、こちらにやってきた。

ひと「大丈夫だった！？？頭切られてたんだよ？
痛くない？何か不自由はある？」

早口でやっと聞き取れた。

『あ“……うん……いってて。
らんらんが手当てしてくれたの？』

ひと「うん。一応ね。



ねぇ、A？」


グッとこっちに来て身を乗り出してきた。
いつもとは違い、黒いヒートテックな様な物を着ている。

『ん？』


ひと「あのさ、もう戦いに行くのはやめてほしい。」


耳の奥にまで響いた。
しっかり。よく漫画ではこういう時、丁度よく何か大きな音がしたりして聞こえないんだろうけど、
クリアに聞こえた。




『……は？』

口からぽろっと出てしまっていた。




それがいけなかったんだ。



数時間前の自分は、本当に馬鹿だと今痛感した。
なぁ、数時間前の私。


落ち着いて話をしろ。
彼の独占欲は計り知れないぞ、と。


それだけ伝えたかった。

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