高校生 ページ2
私は、幼い頃に誘拐されている。
と言っても･･･想像のつくような誘拐ではない。
「起きろ！いや、起きてるか？
はーい、黒尾さんが迎えに来たぞ〜」
「へいへいへーい!!!俺も来たぞ！！」
『おはよ･･･朝から元気すぎだよ』
毎朝起こしに来るこの人達は黒尾鉄朗と木兎光太郎。
みんなの中でも結構明るいし、話しやすい。
いや、今は全員大好きなんだけどさ。
「おはよ･･･クロ、さっき夜久くんが探してた」
「おはようございます、
木兎さん、もう少し静かに喋ってください
さっき、下まで聞こえてましたからね」
『おはよう』
彼らも、すごく優しくて良い子。
彼らの見ためはずっと、私と同じ高校生くらい。
「A〜、朝ごはん出来てるぞ！
ゼリーもちゃんとあるからな！」
『ゼリー･･･！毎朝ありがとう』
「いえいえ！」
菅原考支･･･彼も、いつもにこにこしてて優しい。
堕天使なんだっけ、怒ったときは本当に怖かった。
普段は普通の天使でも問題ないんだろうなぁ、とか
こんな皆と私でも。
最初こそは私も怯えてたし、
彼らも恐怖で私をここに縛り付けてた。
「Aちゃんさぁ、それ美味しい？」
『これ？すごい美味しいよ』
「ふーん？
木葉ー！これ美味しいって！！食うか！？」
「は！？止めろよ！俺には無理だからな！」
「えー･･･？お、本当だ！美味い！」
「え、木兎くん！？それ食べていいんすか！！」
「･･･山本には無理だからね」
逃走してる･･･木兎光太郎、不明なんだよなぁ。
私は、大体の人の生態を分かっているし･･･
この建物の中なら自由に行動して良い、
何でも使って良いし、
買い物も付き添いがあれば良い。
完全に囚われて、囲われているけれど、嫌じゃない。
むしろ彼らとの生活の方がずっと快適だ･･･
けど、ここには･･･
簡単に幸せが崩れるタブーがいくつかある。
タブーを振り替えるとよく考える。
いずれ･･･ここが崩れ去るときが来るのだろうか。
この生活は、彼らはあとどれ程持つのだろうか。
彼は、どうなってしまうのだろうか･･･って、
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