淡い夢

＊ ページ4

バーのカウンターで少しの酒を口に含み、短く息を吐き出した

彼＿＿バーダックがここにくるのはいつもの事だ

今日の戦闘での失態を思い出し、また酒を飲んだ

まさか、女に命を救われるとは

奇襲だったとはいえ、プライドが傷ついた

正直、あの女は弱いと思っていた

こっそりスカウターで計測したときもそれほどでもなかったから

しかしそれは間違いだった

いや、そんなものではない

あいつはもっと＿＿


｢おい、バーダック｣


その聞き馴染みのある声によって、彼の思考は遮られた

遮られた事への苛立ちと、酔いでバーダックはその声の主を軽く殴った

｢なんだ『ターレス』｣

声の主、ターレスはニヤリと意味ありげな笑みを浮かべ、バーダックの隣へ腰掛けた

｢なんだ、今日は元気ないじゃないか｣

そう言って肩に手を乗せてきたが、バーダックは軽くあしらった

予想以上に釣れないバーダックの反応にターレスは首をかしげる

奥さんと喧嘩でもしたのか

そうなると息子関係だろうか

だいたいはバーダックが息子に厳しくしすぎて喧嘩になる

俺はその通りだと思っているがこいつの性格上、しょうがないと割り切っている

ターレスは考えたが、結局満足のいく答えは得られなかった

聞くしかない、とターレスが口を開きかけた時、今度はバーダックが遮った

｢今日の遠征｣

面白いやつに出会った

その言葉にターレスは目を丸くした

こいつは滅多にそういうことを言わない

動揺を隠せないでいたが、ターレスも興味がある

｢そいつはどんなやつだ？｣

｢あいつは戦闘力を『隠して』いた｣

ターレスは疑問を抱いた

確かに凄いことだが、面白い訳では無い

少し落胆した

彼が面白いと言うのだから余程面白いのだろうと期待していたから

そんなターレスは次の発言に言葉を失った




｢女だった。戦闘力を秘めた女だ｣


は、と短い言葉しか出なかった


サイヤ人でもやはり男女の差がある

女は男に劣る

そのため戦闘員は限られていた

戦闘員といえども、弱いことにはかわりなかったが


戦闘力を隠す輩は少ない

いや

隠すほどの戦闘力の戦闘力を持っていない、の方が正しい

そんな戦闘力を、女が



ターレスはバーダックの飲んでいた酒を口にし、バーダックに問いかけた

｢その子の特徴、教えろよ｣

バーダックは少しターレスを見たあと、深いため息をついた

しばらく黙ってこう言った

｢教えねぇよ、バーカ｣

ターレスは首を傾げた

バーダックの考えが、分からん

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