淡い夢

＊ ページ13

新しい戦闘服を着て家を出た。

今日から1週間の長期遠征だ。少し大きい星で、生物が多いらしい。長期遠征は嫌いだ。必ず協力しなければならないからだ。私には向いていない。

集合より少し早くポットに着いた。あらかじめ行く星などを設定しておく。小さい頃入力を間違えてから早めに来るようにしている。同じ失敗はしたくない。

調節をしている内に人が集まってきた。9人。1人足りない。遠征、特に長期遠征の場合偶数で行くことが多い。奇数なら私はきちんと自分を管理しなけば。

｢静かにしろー｣

既に静かなこの空間に宇宙人はそういった。相変わらず偉そうだ。

｢今日はこいつも加わる｣

｢ターレスだ｣

何故ここにこの人が。頭が白く染まっていく。バーダックと知り合いのような感じだったから、てっきりバーダックチームなのかと思っていた。

｢ターレスのペアはAだ。その他はいつものように組め｣

まさかペアまで同じになるなんて。長期遠征の場合は大体ペアになって行動する。私はいつも1人だからペアのときどうすればいいかなんてわからない。

｢よお。よろしくな｣

急に話しかけられて｢こちらこそ｣とこわばった顔で答えてしまった。私の返事にターレスはふっと笑った。

｢そう緊張するなよ。俺が守ってやるからさ｣

そういって彼はポットに乗り込んだ。

女の人達はきっとこういう所に惹かれるのだろう。何も思わなかった訳では無い。ただ彼の思うつぼなのだなと思ったら少し腹がたった。









星に着いてからターレスと会った。彼の戦闘服は奇抜な気がした。

｢なあ、俺たちはどうすればいいんだ?｣

私は渡された地図を見た。予定の場所とは少し離れた所にいるようだ。

｢こっちです。行きましょう｣

飛んで向かっている時、ターレスは私に話しかけてきた。正直うるさい。でも嫌な気持ちではなかったのが不思議でしょうがない。

｢いい加減敬語じゃなくていいんだぜ?｣

｢癖なんです。おしゃべりはこれくらいにしてそろそろ始めましょう」

それに対してターレスは舌打ちをして不機嫌な顔になった。

｢つれねぇな…。どっかの誰かさんみてー｣

どっかの誰かさんとは誰だろうか。頭には少しバーダックが思い浮かんだ。似ているとは少し思いたくない。

「さぁ、始めるか」

気を手に集める。今日まで楽しく生きていた生物達は今から消える。

私たちのこの行為には意味があるのか。考えるのも無駄に感じる。これは仕事だ。

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